研究課題/領域番号 |
18K17481
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 美香子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任講師 (40382957)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 排尿自立 / 超音波 / セルフモニタリング |
研究実績の概要 |
【目的】骨盤内手術により下部尿路症状が生じた際に排尿が自立することは、将来的な症状の重症化や腎機能の低下・人工透析の導入を避けるうえでも極めて重要である。しかし、短い入院期間でのケアだけでは排尿の自立まで至ることが難しく、入院中に立てられた排尿管理方法が退院後の症状の変化に対応できていないことがある。そこで、本研究では、超音波画像上で骨盤底筋を収縮を数値化する技術の開発(目的1)と、ICTによる看護師のコンサルテーションシステムの有効性検証(目的2)を行うことを目指している。 【方法・結果】2018年度は、目的1について前立腺全摘出術後の男性患者の経会陰超音波画像から尿道閉鎖の程度を数値化する技術の開発に取り組んだ。現時点までに、恥骨下縁と直腸肛門角の同定までは自動検出でくるようになったことから、今後、尿道閉鎖状況を数値化していく予定である。目的2については看護師へのヒアリングにより、コンサルテーションを行う際に必要な医療情報や、患者から提供してほしいデータの種類やICTでの受信方法のあり方について検討を行った。超音波画像での膀胱尿量や骨盤底筋の収縮に関する情報のほか、排尿日誌による排尿回数や平均尿量などの情報も必須であるとの意見があり、今後のICTでは画像以外のデータも取得が必要であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
最終目標である排尿自立へのセルフモニタリングでは、患者が自分で超音波画像を描出し骨盤底筋の収縮を確認する必要がある。そのためには、経腹超音波画像での骨盤底筋収縮の数値化までの技術開発が必須であるが、2018年度は、データ数が豊富な男性患者の経会陰超音波画像を用いて、骨盤底筋の収縮を評価する技術開発を進めたため、経腹超音波画像での技術開発はできていない。
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今後の研究の推進方策 |
研究1についてやや遅れはあるが、経会陰超音波画像での技術開発が進んでいることから、画像の読影が比較的簡単な経腹超音波画像にこの技術を応用することは可能であると考えている。また、女性についてはすでに経腹超音波画像が十分量あることから、応用できれば技術開発は進むと考えられる。研究2については、現在までにICTに必要な情報や取得方法を検討できたことから、システムの構造は検討済みである。ICTシステムの開発実績はあるので、今後速やかにICTシステムの開発を行い、研究1が開発でき次第、ICTによる看護師のコンサルテーションシステムについて有効性の検証を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
有効性検証研究(目的2)で患者にセルフモニタリングに使用してもらうタブレット型超音波機器を150万円で購入予定であったが、2019年に新機種が発売される予定があったため購入を延期し、今までに調査で取得していたエコー画像を用いて目的1の研究を行った。2019年度に本予算でタブレット型超音波機器を購入し、目的2の研究を行う。
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