研究課題
【目的】骨盤内手術により下部尿路症状が生じた際に排尿が自立することは、将来的な症状の重症化や腎機能の低下・人工透析の導入を避けるうえでも極めて重要である。しかし、短い入院期間でのケアだけでは排尿の自立まで至ることが難しく、入院中に立てられた排尿管理方法が退院後の症状の変化に対応できていないことがある。そこで、本研究では、超音波画像上で骨盤底筋を収縮を数値化する技術の開発(目的1)と、ICTによる看護師のコンサルテーションシステムの有効性検証(目的2)を行うことを目指した。【方法・結果】2019年度は、目的1について分娩後の女性の経腹超音波画像から骨盤底筋の収縮の程度を数値化する技術の開発に取り組んだ。専門家による収縮の良・不良の判断と、自動で数値化された収縮の程度が高い確率で一致することが確認できた。また、昨年度の研究において、排尿ケアについてICTを用いて患者へコンサルテーションを行う際に看護師より必須とされた残尿量や排尿日誌による排尿回数や平均尿量などの情報について、経腹超音画像での膀胱尿量の自動推定法を開発、実装し、排尿日誌画像からの排尿回数や1回排尿量の同定の基礎技術の開発を進めた。これらの技術を用いて、産後に尿閉があり自己導尿を行っていた患者対し、入院中の指導並びに退院後のコンサルテーションを行った(目的2)。その結果、医療機器に日常的に慣れていない患者においても、退院前に十分な指導を直接行うことで、退院後に一人で、スマートフォン型の超音波検査診断装置の操作し、膀胱内の尿量を描出することが可能であることが確認できた。また、この画像や、排尿日誌の情報を医療者に送ることにより、尿閉の回復に伴ってタイムリーに自己導尿回数を減らすができ、ICTによる看護師の排尿ケアのコンサルテーションが排尿自立や尿路感染症の予防に効果があることが示された。
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