研究課題/領域番号 |
18K17485
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
廣田 美里 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (70595488)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | うつ病 / 家族 / 看護支援 |
研究実績の概要 |
うつ病は再発率が高く、療養が長期化することは少なくない。そのため、うつ病患者の家族の負担は、心理面、身体面そして社会面に及び、その大きさは統合失調症患者の家族の負担に相当すると報告されている。うつ病治療における家族支援の重要性が明らかであるにもかかわらず、うつ病患者の家族、特に配偶者を対象とした介入研究はほとんど行われておらず、エビデンスが蓄積されていない。本研究の目的は、うつ病患者の配偶者を対象に、看護師が行う積極的傾聴による個別面接の実現可能性とその効果を調査することであった。 個別面接は、看護師が外来通院をしているうつ病患者の配偶者を対象に、1回につき約45分、合計3~4回実施した。個別面談では、配偶者が自由に思いや体験を語ることができる場とし、看護師は配偶者の語りを積極的に傾聴した。介入は2019年度中に終了し、2020年度は介入前後に得た質問紙調査によるデータを統計解析し、介入の実施可能性と効果について、論文にまとめ、国際誌に投稿した。一方、介入前後に得た質問紙調査の結果からだけでは測ることが難しい本介入が配偶者にもたらした影響、そして看護師が聞き手として、どのような態度をとることが求められるのか、何に注意する必要があるのか、を明らかにする必要があると考えた。この問いを明らかにするため現象学的方法を用いて、個々のケースで何が語られ、研究協力者(配偶者)は何を経験したのかを、ケースごとに分析し、ケースの理解を深め、さらにケース間での共通の結果を生み出すことを目指すこととした。これについては、現象学を専門とする研究者からスーパーヴァイズを得ながら分析を進めているところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度中に質的分析を終え、結果をまとめる予定としていたが、COVID-19の感染拡大により教育活動へのエフォートが例年よりも大きくなり、本研究へのエフォートがやや不足した。また、2021年1月より研究者が産休、育休を取得し研究を一時中断している状況のため、「やや遅れている」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
研究者の育休取得終了後、研究再開し、質的分析を進める。個々のデータを分析し、その都度現象学を専門とする研究者からスーパーヴァイズを得てさらに分析を進めていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
質的研究の分析の進度が遅く、そのためにスーパーヴァイズを依頼する講師への謝金が想定していたよりも少なく、また、結果がまだまとめられていないために校閲、校正に係る費用の支出が発生しなかった。
|