研究課題/領域番号 |
18K17490
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研究機関 | 日本赤十字看護大学 |
研究代表者 |
細野 知子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 講師 (00815615)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 糖尿病 / セルフモニタリング / 手帳 / 現象学 / セルフケア |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、糖尿病自己注射患者が1年間にわたり自己管理手帳(以下「手帳」)をつけるという経験を、現象学的研究によって明らかにし、糖尿病看護で活用できる自己管理ツール開発案を作成することである。 今年度は、昨年度までに収集したデータをもとに手帳をつける経験を現象学的に分析し、各研究対象者の経験を、日本質的心理学会第17回口演(10月)、日本現象学・社会科学会第37回大会口演(12月)、第40回日本看護科学学会学術集会口演(12月・JANS40大賞ノミネート)で発表した。さらに、複数の研究対象者の経験の共通性と相違から見える多様性、手帳という道具と手帳をつける行為の成り立ち、セルフケアの仕方、手帳を介した他者とのかかわりなどを考察し、第46回日本保健医療社大会RTD(9月)、日本保健医療社会学会第3回看護・ケア部会(3月)において発表した。これらの発表での討議を通じて分析・考察を洗練させ『日本看護科学学会誌』、『現象学と社会科学』、『保健医療社会学論集』の三誌に論文を投稿した。 次年度はこれらの論文の査読を通じて、現象学の観点から明らかになった手帳をつける経験の主要なテーマを明確にして、糖尿病看護でのコミュニケーション媒体となる自己管理ツール開発案を作成する。開発案は研究対象者、糖尿病専門医、糖尿病看護の専門資格を有する看護師と意見交換を行う予定である。 さらに、患者の視点から明らかにした本研究成果を基盤として、カスタマイズ可能な手帳をデザイナー及び文具メーカーと共同制作する次期研究プロジェクトを計画している。手帳を利用可能な患者にセルフケアや医療者とのコミュニケーションを促す手帳をつくることで、糖尿病ケアのダイバーシティ実現を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では計画通り2~3年次に研究参加者のリクルートが実現し、1年間にわたるデータ収集を完了した。3年次である今年度も計画通り、データ分析及び関連研究会・学会発表によるブラッシュアップを進めたが、国際学会の発表はCOVID-19感染拡大による影響で実現できなかった。 研究成果の論文投稿は4年次の予定であったが、予定より早く3年次の内に実施できたことに加え、3本の論文を投稿した。4年次に入った現在、2本の査読が返ってきたところで、再投稿に向け準備を整えている。論文投稿を経て、手帳を使わない経験も含めて手帳に関する経験の主要なテーマや多様な使われ方が明らかになりつつあり、当初の計画以上に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
現在、現象学的な分析を通じて手帳をつける経験の成り立ちが明らかになってきたため、最終年度である次年度は、この糖尿病自己注射患者の経験を根拠にして使いやすい手帳案、つまり、自己管理ツール案を作成する予定である。その際には、糖尿病自己注射患者である研究対象者、糖尿病医療に携わる糖尿病専門医、糖尿病ケアの専門資格を有する看護師らと意見交換を行っていく。 本研究プロジェクトにおいて作成した自己管理ツール開発案を基に、次期研究プロジェクトではデザイナー及び文具メーカーと手帳を共同制作し、糖尿病自己注射患者が実際に使用する経験を研究していく予定である。同時に、手帳を使うことによる医療者とのコミュニケーションの変化、血糖コントロールの変化も研究する予定である。なお、手帳開発で協力を依頼するデザイナーや文具メーカーとはすでにアイデアを共有している。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染拡大により、遠隔にある研究フィールドに行くことが出来なくなり、遠隔地で開催されていた定例研究会や学術集会がオンラインとなり旅費の使用が発生しなかったため。
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