本研究の目的は、我が国における高齢がん患者・サバイバーの増加と化学放射線療法の発展を背景とし、「化学放射線療法を行う高齢がん患者の『食べて動ける力』を支える集学的ケアモデルを構築すること」である。 まず、ケアモデルの作成に活用するために、看護師が捉える化学放射線療法を行う高齢食道がん患者の看護援助における課題を「食べて動ける力」への支援に焦点をあてて明らかにすることを目的とし、化学放射線療法を行う高齢食道がん患者をケアする、研究協力に同意の得られた病棟・外来看護師7名を対象として面接調査を実施した。化学放射線療法を行う高齢食道がん患者の看護援助における課題として、〔患者の理解度や生活状況を確認しながらセルフケア支援を進めていくこと〕〔患者の変化を見逃さず、先を予測したケアを行うこと〕〔患者が「食べること」を支えるための効果的な指導を行うこと〕〔安全性に考慮しながら患者の活動性を維持すること〕〔外来受診の機会を活用し、患者が抱える問題を把握すること〕〔脆弱な高齢者の療養生活を医療・ケアチームで支えること〕の6カテゴリーが抽出された。 先行研究で行った高齢がん患者・家族を対象とした調査と、前述の看護師への面接調査の結果をふまえて、「高齢がん患者の『食べて動ける力』を支える集学的ケアモデル」(案)を作成した。化学放射線療法を行う高齢食道がん患者に焦点をあて、①『いつもの暮らし』のアセスメント、②『食べて動ける力』を維持するセルフケア支援、③がんとともに『いつもの暮らし』に戻ることを支える支援の3つのフェイズと、「A.からだ」「B.食」「C.活動」「D.文化・価値」の4カテゴリーからアセスメントやケア、ならびに関連する専門職を整理したケアモデルの作成を行った。がん看護領域において経験豊富な専門看護師・認定看護師3名のアドバイザーより助言を得てケアモデルを洗練した。
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