がんに関連したサルコペニアに対する介入研究の文献検討を行った。がんサバイバーのサルコペニアに対しての看護介入は、サルコペニアが招く全身倦怠感への看護介入が見られる。がんに関連した倦怠感・疲労はサルコペニア(握力、大腿四頭筋筋力、筋肉量)と関連していることが多変量解析で検証されており、米国National Comprehensive Cancer Network(NCCN)のガイドラインによると、がんに伴う全身倦怠感・疲労感(cancer-related fatigue)とは、「がんやがん治療に伴う永続的、主観的な疲れであり、肉体的、精神的、感情的な側面をもっている感覚で、エネルギーが少なくなっている状態」と定義されており、看護介入は心身のエネルギーに着目した内容があげられている。なかでも、化学療法中の倦怠感に対し、有酸素運動やウォーキング、キャンサーエクササイズなど活動量を増やす介入が行われているが、標準的なプログラムの開発にまで至っていない。また、緩和ケア分野においては、倦怠感に対し、倦怠感のパターンの把握のためのスケールの開発、活動と休息のエネルギーバランスの調整、栄養(食べたいものを摂取としているので、患者の好みは果物、麺類が多い)と水分の補給、血液リンパ液の循環を促すマッサージ、自律神経を整えるリラクセーション・気分転換が推奨されている。ラベンダー精油を用いた足浴が倦怠感の軽減に有効である効果は検証されているが、これはリラクセーション効果によりエネルギーが蓄積されたものでサルコペニアの減少には至っていない。 これらから、がんサバイバーのサルコペニアに対するリハ栄養看護介入プログラムの開発を行い、若年がん患者の通院治療と就労の継続、高齢がん患者の快適な生活の促進は重要な課題であることが明らかになった。
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