本研究は、高齢慢性心不全患者へのエンドオブライフケアを可能にする看護モデルの開発を目的としている。 2018年度は研究1として、高齢慢性心不全患者の病気を実感した経験や療養上の現状や困難、援助ニーズを明らかにすることを目的に取り組み、2名の高齢慢性心不全患者にインタビューを行った。インタビューの結果、高齢慢性心不全患者は、日常生活上の変化から病気の進行を実感していることが明らかとなった。 2019年度は研究1の続きとして、さらに3名の高齢慢性心不全患者にインタビューを行った。 また、研究2として慢性心不全患者のケアに携わる慢性心不全看護認定看護師を対象に、看護実践上の病状の進行のアセスメント・判断の根拠、実践している援助内容とその意図等を問う質問紙を作成し、質問紙調査を行った。質問紙調査の結果、病状の進行をアセスメントする上では、検査データだけでなく、「再入院の回数・頻度」や「日常生活での困りごと」等を判断の根拠としていた。病状の進行時には、「苦痛の緩和」に努め、患者本人が「今後どのように生きたいか話をする機会を設け」、「望む生活を送ることができるよう支援する」等していることが明らかとなった。 2020年度は研究2として高齢慢性心不全患者のケアに携わる慢性疾患看護専門看護師にエンドオブライフケアの実践や実践する上で難しいこと、大切だと思うこと等についてインタビューを行った。インタビューの結果、エンドオブライフケアを意識して看護実践を行っており、患者の大切にしたいことを確認し、維持できるよう関わっていた。また、多職種の価値観の相違やスタッフ教育に課題を感じていた。 2021年度は高齢慢性心不全患者へのエンドオブライフケアを可能にする看護モデルの素案を考案している。
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