研究課題/領域番号 |
18K17498
|
研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
脇口 優希 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (90520982)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 造血幹細胞移植 / 食事摂取困難 / 看護介入 / 移植看護 |
研究実績の概要 |
①文献レビュー:【方法】造血細胞移植患者の食事摂取に関する国内外の日本語と英語の看護文献を収集した。医中誌、Pubmed、CINAHLであり、キーワードは「移植・食事・経口摂取」「trasnplant・oral intake」で、単独もしくは組み合わせて、2009年~2019年7月に発表された原著論文を検索した。検索された論文のうち重複文献、臓器移植に関する文献、小児に関する文献を除外した論文29件(日本語11件、英語18件)を分析対象とした。【結果】体重や血清アルブミンの推移を指標とした移植前後の栄養状態変化に関する報告や、腸管栄養や静脈栄養といった栄養管理方法の比較介入試験が主であり、食事摂取困難軽減に効果が期待できるマネジメント方略についてはほとんど調査されていないことが明らかとなった。少数ではあるが、患者を対象としたインタビュー調査では「患者は経口摂取に関する看護ケアを強化してほしいと願っている」ことが報告されていたが、具体的な看護ケアは示されていなかった。また、急性GVHD患者の症例報告では、消化管機能の不安定さ、長期入院を考慮したうえで、患者の不安および経口摂取へ恐れを考慮しながら、患者の味覚に合わせた食事提供を保証することの重要性が述べられていた。研究結果については、第33回日本がん看護学会学術集会で報告した。 ②医療者へのインタビュー調査:国内の移植施設・病棟において1年以上勤務している医師・看護師・栄養士を対象にグループインタビューを行った。同意が得られた2施設のうち1施設はCOVID-19の影響により調査が延期となっている。造血細胞移植患者の食事摂取困難に対して実際に行っている方略について伺い、職種毎の視点の違いなども含めて分析を行っている段階である。今後、病院での調査が可能になった場合には、施設数を増やし、地域性の偏りが無いよう調査を進める予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
診療録に基づいた調査の実際が難しく、今年度は看護介入プログラムの枠組みとなる状況特定理論(situation specific theory: SST)構築とそれに基づいたプログラム開発を行うことを計画していた。まず、食事摂取困難に有効な方略に関する文献検討が予定通り行えたため順調に進展していると判断した。しかし、医療者が提供している方略に関する調査については、COVID-19で延期を余儀なくされたため、やや遅れていると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、造血細胞移植患者における食事摂取困難のマネジメントに関する状況特定理論(situation specific theory: SST)構築とそれに基づいたプログラム開発を行う。 具体的には、本研究の基盤となる移植患者の食事摂取困難に関する質的研究の洗練と、医療者が提供している方略に関する質的研究の完遂、文献検討等を含めた質的研究結果の融合を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により、医療者のインタビュー調査が中断されている。具体的には、外部から病院に立ち入ることができない、都道府県をまたいだ移動ができないことから、調査施設への依頼や病院での調査実施ができない状況が続いている。そのため、予算として確保していた旅費や資料作成費用などが余っている。また、アメリカがん看護学会において最新の知見や研究法などについて情報収集する予定であったが、今年度はCOVID-19の影響により開催されなかった。次年度以降、病院での調査や海外での調査が可能になってから、当該助成金を活用し調査を進める予定である。
|