研究課題/領域番号 |
18K17498
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
脇口 優希 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (90520982)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 造血幹細胞移植 / 食事摂取困難 / 看護介入 / 移植看護 / 状況特定理論 |
研究実績の概要 |
①医療者へのインタビュー調査:国内の移植施設・病棟において1年以上勤務している医師・看護師・栄養士を対象にグループインタビューを行った。2019年度に同意が得られた2施設のうち1施設はCOVID-19の影響により調査が延期となっていたが、Web会議システムを利用したオンラインインタビューに計画を変更し実施した。関西1施設、関東1施設を追加し、地域や施設の施設偏りが無いよう調査を継続している。調査成果の一部は第一報として第40回日本看護科学学会学術集会で公表した。 ②看護ケアプログラムの枠組みとなる状況特定理論(situation specific theory: SST)の構築:2017年度から継続してきたインタビュー調査、文献レビューに基づいて「造血細胞移植患者の食事摂取困難に関する症状マネジメントモデル」の構築を行った。中範囲理論であるDoddらの修正版症状マネジメントモデル(a model of symptom management: MSM)を基盤とし、帰納的かつ演繹的に分析を行った。移植患者の食事摂取困難独自の要素として、症状体験の結果「意味づけ」への影響が抽出された。つまり身体症状のマネジメントでありながら、患者がどのように「食事や食行動の意味を捉えるのか」という要素がカギとなることが明らかになった。また、意味づけに影響を与える要素として、個人の食事への価値観、食行動、食事摂取困難をもたらす身体症状との関連が示唆されており、この点については文献レビュー等を用いてさらに明確にする予定である。調査成果は第1回理論看護研究会で公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
医療者が提供している方略に関する調査がCOVID-19の影響で調査が遅延していたが、オンラインによるインタビュー調査を実施することができ、おおむね順調に進展していると判断した。また、得られた調査結果に基づいて状況特定理論構築に至ったため、全体を通しておおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は最終年度となるため、状況特定理論に基づいて造血幹細胞移植患者の食事摂取困難を緩和する看護ケアプログラムの開発を行う。また、プログラムを精錬させるため、当初予定していた、当事者である患者によるエキスパートパネルを計画しているが、COVID-19の状況に鑑みて実施の可否を判断する予定である。可能であればWeb会議システムを利用したオンラインエキスパートパネルを検討したい。 また、これまでの成果をまとめ論文投稿を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
全国でのインタビュー調査、学会発表のため旅費を計上していたがCOVID-19の影響で現地に赴くことができなくなったため旅費の支出がなくなったため、次年度使用額が発生した。また、在宅勤務やWEB会議システムを利用したインタビュー調査など、当初想定していなかった事態に対応するため、物品購入が必要となり当初の予算案とは異なる執行結果となっている。 次年度は、最終年度となるため、現在行っている調査の継続と共に研究成果の発表、論文投稿に重点を置き研究活動を進める予定である。次年度助成金の使用計画としては①オンラインインタビュー調査にかかる費用(郵送料、謝品等)、②データ保管・分析にかかる費用(SSD、テープ起こし等)、③学会発表にかかる費用(参加費、英文校正費等)、④論文投稿にかかる費用(英文構成費、投稿料等)を計画している。
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