研究課題/領域番号 |
18K17500
|
研究機関 | 大分県立看護科学大学 |
研究代表者 |
森 加苗愛 大分県立看護科学大学, 看護学部, 准教授 (20783286)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 糖尿病 / セクシュアリティ / 男性 / 看護ケアの質 / 評価基準 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、研究者が博士課程により開発した「糖尿病をもつ成人期男性のセクシュアリティの看護ケアの質評価基準(以下、看護ケアの質評価基準)」の臨床実践適用性と有用性の検証により、本基準の洗練を図ることである。平成30年度は、以下1~4の計画であった。 計画1は、看護ケアの質評価基準を臨床実践する対象看護師と施設を選定する。対象看護師は糖尿病看護認定看護師で、本研究の趣旨を理解し参加の同意が得られた5名程度およびその所属施設を対象施設としている。計画2は、看護ケアの質評価基準の実践を行う対象看護師への説明および指導を行う。看護ケアの質評価基準の臨床実践適用上の困難についてインタビューを実施し、その結果を踏まえ、医療職者に必要な指導・支援を明確にして指導を行う。計画3では、対象施設の糖尿病ケアチームへ説明し、研究協力を依頼する。計画4は、データ収集時の評価票および対象者へのインタビューガイド作成である。 研究実績では、研究倫理審査申請の関係上、計画を以下の3段階に修正した。第1段階では、対象施設における看護ケアの質評価基準の臨床実践適用上の困難の明確化およびケア方針と評価票の立案、第2段階では、看護ケアの質評価基準の臨床実践適用上のケア方針についての糖尿病ケアチームに対する説明、第3段階では、看護ケアの質評価基準を臨床において実践し、6ヵ月間の実践過程で評価のデータ収集を行った。 平成30年度までに第1段階まで倫理審査で承認され、対象者および施設の選定を3施設行った。うち1施設は承認され、今後計画を進める予定である。他の1施設は糖尿病専門医の異動により研究協力が困難となった。また、他の1施設は研究協力を行うか現在協議中である。 本研究に協力するにあたり、協力内容に関する詳細な研修会を開催してほしいとの要望もあり、研修会を開催している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本務との調整により、倫理審査申請の時期が遅れたことが、計画が遅延した大きな理由である。また、本研究の性質から、研究が施設全体の協力が必要であるため、対象施設内での協議に時間を要している。また、対象候補者である糖尿病看護認定看護師から、研究協力を行えるかどうか判断するために、本研究の趣旨および糖尿病をもつ成人期男性のセクシュアリティの看護ケア、看護ケアの質評価基準に関する研修会開催への要望があったため対応している。本研修会は、予定外であったが、日程調整を行い実施しており時間を要している。 また、対象者および対象施設の選定において、対象施設の研究協力への協議に時間を要していることや、当初研究協力に内諾を得た施設で、急遽糖尿病専門医の異動があり、研究協力が困難となった施設が発生したことなど、予定外のこともあり計画が遅延している。 今後、早急に対象者5名およびその施設を選定し研究をすすめたい。
|
今後の研究の推進方策 |
令和元年度は次の期間を目途に計画を進める。対象者5名および施設の選定を令和元年9月までに終了し、12月までには計画2から計画4を実施する。令和2年1月からは、当初の計画5である看護ケアの質評価基準を臨床適用し実践する。令和2年1月から6月までの6ヵ月間の実践過程でデータ収集を4回行う。対象の5施設では、臨床適用実践が開始可能となった施設から適宜開始する。データ収集は、対象看護師では、研究開始時、1ヵ月後、2ヵ月後、4ヵ月後、6ヵ月後を設定し、糖尿病ケアチームでは、1ヵ月後、2ヵ月後、4ヵ月後、6ヵ月後に評価票と半構造化インタビューにて行う。対象患者・家族(パートナー)の選定・データ収集は、研究の過程で看護ケアを実践した方で、研究の趣旨、協力内容、倫理的配慮を説明し同意が得られた者を対象とし、集団教育(糖尿病教室)での評価票および半構造化インタビューを実施する。収集したデータから次の分析を行う。 1.臨床実践適用性の視点と分析方法:評価票にて評価・検証を行う。また対象看護師のインタビュー、糖尿病ケアチームの参加観察とグループインタビュー、患者と家族(パートナー)のインタビューから実践適用性についての語りを抽出する。分析方法は、実践適用可能性の程度を問う評価票および施設条件等の関連性を評価し、抽出した実践適用性の語りを質的に分析する。 2.有用性の視点と分析方法:評価用紙にて評価・検証を行う。対象看護師のインタビュー、糖尿病ケアチームの参加観察とグループインタビュー、患者と家族(パートナー)のインタビューから有用性の語りを抽出する。分析方法は、評価票の「成果」の評価及び有用性の語りを質的に分析する。 令和2年7月から計画6を実施する。計画6は、計画5の結果から、看護ケアの質評価基準の臨床適用性と有用性の検証・洗練を行うことである。研究修了後、論文の作成・投稿・製本を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
対象者および対象施設の決定の遅れにより、研究の遂行が遅れているため経費の次年度使用が生じた。令和元年度、対象者および対象施設を速やかに決定し、計画通りに研究を遂行する予定である。経費では、対象施設訪問への旅費、研究に関する物品購入、データ収集に係る謝金・人件費等使用する予定である。
|