研究課題/領域番号 |
18K17508
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
瓜崎 貴雄 大阪医科大学, 看護学部, 准教授 (20584048)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 自殺未遂 / 看護師 / 態度 / 救命救急センター |
研究実績の概要 |
【研究遂行状況】2019年度は回収した829名の質問紙のうち、⑦態度変容のきっかけとなった出来事や状況などに関する自由記述に回答があった75名について分析を行った。 分析方法は次のとおりである。自由記述をよく読み、態度変容のきっかけとなった出来事に関する記述を抽出し、コードとした。意味内容の類似性の観点から抽象度を上げて整理しカテゴリーを作成した。分析では、一旦カテゴリーを作成した後にも、コード、自由記述を繰り返し読んで、カテゴリー名やそこに含まれるコードの適切性について検討を重ね、信用可能性の確保に努めた。 分析の結果、113のコードが抽出され、患者要因として5のカテゴリー(47のコード)、看護師要因として7のカテゴリー(38のコード)、環境要因として5のカテゴリー(28のコード)が得られた。患者要因のカテゴリーは「患者の希死念慮と自殺企図」「周囲を振り回す患者の言動」「アドヒアランスの不良」「生きようとする患者の言動」「重篤な患者の状態」であった。看護師要因のカテゴリーは「患者が自殺企図に至った理由の理解」「自殺未遂の看護に関する学習経験」「看護師の生活における個人的経験」「患者から被害を被る体験」「自殺未遂患者と他患者との比較」「患者との関係が深まる経験」「精神科での看護経験」であった。環境要因のカテゴリーは「自殺未遂が繰り返される状況」「疲弊し、不安を抱えつつも回復を望む家族の様子」「他職種や同僚と協働できる状況」「看護師のマンパワー不足」「同僚の冷淡な言動」であった。 上記の分析結果については、2020年8~9月にWEB開催される日本精神保健看護学会第30回学術集会にて発表する予定(採択済み)である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書に記した【研究遂行計画】のとおりに進んでいる。 なお、研究計画調書には【研究遂行計画】について、以下のように記載している。 2018年4-8月:質問紙作成、9月:倫理審査受審、10-12月:質問紙調査準備、2019年1-3月:質問紙調査実施、2019年4月-2020年3月:質的データ分析と公表、4月-2021年3月:量的データ分析と公表。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、量的データの分析と公表を行う。 看護師の自殺未遂患者に対する態度尺度(瓜﨑,2017)は探索的因子分析を行って因子構造を確認する。その後、因子得点を用いてクラスター分析を行い、各因子得点を比較し、クラスターを命名する。ここでは4つのクラスター、すなわち、態度の4つの型(接近的・回避的・両価的・中立的)が想定される。態度の4つの型毎に態度を目的変数とし、①救急看護経験年数、②自殺未遂患者のケアについての教育経験(有無)、③自殺未遂患者と接することについての不安、④精神健康度、⑤共感性、⑥看護実践環境、⑦態度変容のきっかけとなった出来事や状況に関するカテゴリー(有無)を説明変数として重回帰分析を行う。 なお、4つの型の態度を同定できなかった場合は、態度尺度得点(合計得点)を目的変数として、上記①~⑦を説明変数とした重回帰分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
【理由】分析や論文執筆に必要な書籍の購入が当該年度にできなかったためである。 【使用計画】次年度は、研究成果を論文にまとめて発表する予定である。研究費は、論文作成の際に参考にする書籍の購入や論文校正にかかる費用に充てる予定である。
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