研究課題/領域番号 |
18K17525
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研究機関 | 宮城大学 |
研究代表者 |
菅原 亜希 宮城大学, 看護学群(部), 助教 (30521835)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | モバイルアプリケーション |
研究実績の概要 |
モバイルアプリケーション(App)による医療介入の報告が増えているが、その成果は一定していない。医療者と参加者との関わりがApp利用者の継続率を維持し、健康行動を高める可能性があると言われている。Appをトランジッショナルケアにどう位置付けるか検討するにあたり、現在のAppがどのような患者アウトカムをもたらしているか確認するため、虚血性心疾患患者の二次予防における、面談を含むAppによる介入の効果についてシステマテックレビューを行った。 虚血性心疾患患者に対する面談を含むAppによる介入効果を評価しているランダム化比較試験を4つのデータベースを用いて検索した。6件が採択され、研究概要の整理とメタアナリシスを行った。面談を含むApp介入の期間中の脱落率は、5.5~28.8%であった。メタアナリシスには5件の研究が使用された。健康関連QOLは、精神的側面と社会的側面について、介入群のほうが通常ケア群よりも有意に高かった。冠危険因子である肥満と血圧については、介入群のほうが通常ケア群よりもBMIが減少傾向にあったが、血圧については、収縮期血圧、拡張期血圧ともに介入による降圧効果は認められなかった。健康行動としての身体活動については、介入群のほうが一日あたりの歩数が多く、介入により増加傾向にあり、中強度の身体活動時間も有意に長く、介入による増加傾向が認められた。虚血性心疾患患者の二次予防における、面談を含むAppによる介入の効果として、QOLの精神的側面および社会的側面を高めること、身体活動性を高める可能性が明らかとなった。QOLの精神・社会的側面を高める結果は、研究者の過去の少数例での研究結果と一致している。身体的健康度を改善していくためには長期的な介入が必要と考えられ、Appを通して利用者と医療者がリレーションを築けるように、ケアの枠組みを開発することが望まれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
アプリケーション開発(改良)を予定していたが、アプリケーションを活用したケア枠組みの開発に時間を要している。これまでの介入事例を振り返り、健康行動がとれない患者の特徴からキー概念を同定し、概念分析を行った。その結果から、概念枠組みを開発している途中である。
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今後の研究の推進方策 |
既存アプリケーションの活用を視野に入れ、ケア枠組みの開発に注力する。しかしながら、COVID-19の影響で研究協力が極めて得られにくい状況である。場合によっては、虚血性心疾患患者ではなく、冠危険因子保有者を対象とし、健康アウトカムを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
アプリケーション開発にあたり、システムエンジニアとの意見交換、協力企業の社内稟議に時間を要し、アプリケーションの開発にまで至らなかった。また、看護ケアに中にアプリケーションを位置づけたケア枠組みの開発に時間を要している。 令和2年度は、トランジッショナルケアモデルを基盤にケア枠組みを開発し、アプリケーションの開発または既存アプリケーションのデータをプールするプラットフォームを開発を進める。
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