研究課題/領域番号 |
18K17525
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研究機関 | 宮城大学 |
研究代表者 |
菅原 亜希 宮城大学, 看護学群, 講師 (30521835)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | パワレスネス / 虚血性心疾患 / セルフマネジメント |
研究実績の概要 |
虚血性心疾患患者のセルフマネジメントを支援する概念枠組みの開発を試みた。これまでのセルフマネジメントが困難であった事例の特徴として、壮年期の就業や離婚といった社会的状況にうまく対応できず、健康でいることの意味を見失ったり、無力感(パワレスネス)を感じていたりしたことが考えられた。そこで心理社会的な適応が図れないことがセルフマネジメントを困難にしていると考え、ストレスマネジメントやパワレスネスといった概念について概念分析を行った。 心疾患患者のストレスマネジメントは、分析の結果、「ストレスによって引き起こされる心理社会的苦痛を軽減するための健康活動」と定義され、その先行要因には「ストレスの自覚」「ストレス軽減の技術」「対処への積極性」が存在した。属性の「自己と自己のストレスの認識」の中に自己肯定感が含まれ、「自己効力感」は先行要件、属性、帰結のいずれにも影響する重要概念であった。 パワレスネスの概念分析から、パワレスネスに共通する主要な属性はコントロール感の欠如と自己決定できないことであることがわかった。特に、虚血性心疾患患者では、動脈硬化危険因子となる他の疾患を併存している場合があり、すでにセルフマネジメントに取り組んでいることや、虚血性心疾患発症が失敗体験になっている可能性もあること、生命の危機を体験する患者がいる一方で低侵襲治療や無症候性心筋虚血など、患者が病気を自覚しにくい事例も含まれること、治療の低侵襲化に伴う在院日数の短縮により不慣れな入院環境と急性期からの回復の中での学習の限界が、虚血性心疾患に特徴的な影響因子であると考えられた。エンパワメント・アプローチの過程に、疾患に関する情報提供と教育、移行期のケアを包含することで、虚血性心疾患をもつ個人が日常生活においてコントロール感を得られている状態をめざした介入になると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルスの感染流行に伴う、諸業務の増加により、研究遂行が困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
概念分析の結果から、概念枠組みを開発し、介入研究の研究計画を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
エンパワメントアプローチを基盤とした、トランジッショナルケアの視点を含めた概念枠組み(ケア枠組み)の開発に時間を要している。コロナ禍における遠隔医療と看護の関わりを整理し、既存アプリケーションのデータをプールするプラットフォームの開発を進める方向である。
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