2021年度までの結果をもとに、既存のアプリケーションとデータ連携し、対象と医療機関をつなぐプラットフォームの開発に向け、業者と打合せを行った。現在、研究レベルで様々なアプリが開発されている一方、科学的に検証されたアプリ介入が医療介入に用いられる例も出てきている。一方で、対象となる人々は既存のヘルスケアアプリをすでに利用しているケースも多い。さらに、看護は対人援助であり、アプリを中心とした介入よりも、アプリを活用した介入が求められる。そのため、独自のアプリを開発し、機能を高めるよりも、既存のアプリのデータをプールし、対象と医療機関をつなぎ、個別的なセルフケア支援を行うことを目指した。業者と複数回打合せを行い、プラットフォームとデータ連携の検証用アプリを作成することについて仕様を固めたが、年度内の納品の見通しが立たなかったため、契約には至らなかった。 介入のフレームワークとしては、Perceived controlをアウトカムとし、エンパワメントアプローチを採用した。具体的なプログラムの開発に向けて「心疾患とうまくつき合う」ことについて概念を探求した。慢性病とともに生きることのゴールを「うまくつき合う」やPositive livingと表現していても、心疾患においてその概念について言及している文献は見当たらなかった。しかしながら、うまくつき合うこと、Positive livingに至る過程に、コントロールやバランス、受けとめるという概念が抽出され、エンパワメントアプローチのゴールとの一致を確認できた。
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