研究課題/領域番号 |
18K17530
|
研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
山田 忍 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 准教授 (20611057)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | がん患者 / クリーンルーム / 尺度開発 / 因子分析 / 妥当性 |
研究実績の概要 |
血液疾患患者の多くは,発症と共にがんの告知を受け,早急に副作用を伴う化学療法を強いられる.その際に免疫力低下からの感染予防のために,クリーンな環境を維持できる部屋,即ち,クリーンルームという閉鎖環境での療養生活をおくることになる.筆者はこれまで,白血病などの腫瘍性疾患である血液疾患患者が入室する,クリーンルームで闘病生活をおくる患者の疾患の不適応感を測定する他記式尺度Cleanroom non-Adaptation Scale : CnA-S2(山田,2013)を開発し,妥当性の検討を行ってきた.できるだけ患者に負担のない状況で,クリーンルーム入室時の不適応な状態を評価したいと考えたからである.しかしながら,研究結果に,患者自身が記入するツールとしての活用も可能ではないかという指摘があった.これは,クリーンルームに入室している患者でも,身体症状が安定している期間であれば,患者自身のセルフケア能力を高める効果として,尺度への記入を求めても良いのではないかということと捉えることができる.看護師経験の浅い看護師は,患者の状態を理解するスキルが身についていない場合があり,そういった場合に,患者からの情報を直接得るためのツールとしての活用も期待できるという,現場での率直な意見があった. よって本研究では,医療者の記入による臨床評価に留まっている研究を発展させ,医療者と患者が尺度を使用しての評価の相違点を検討し内容の妥当性を患者の意見をもとに検討する.CnA-S2を患者と医療者が使用し,尺度得点の相違,内容の評価を行うことで,尺度の妥当性を更に高めることを目的とする.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在,2施設での調査を行っており,医療者と患者の尺度への記入が揃ったデータは16である。目標データ数90であり18%に留まっている。医療者と患者が尺度を使用しての評価の相違点を検討し内容の妥当性を患者の意見をもとに検討するため,医療者と患者が同時期に尺度に記入することが必要である.しかしながら,クリーンルームに入室中の治療の時期に患者への記入を依頼することは患者に不利益を与えることとなる.よって,退院が決定した時期に想起してもらい調査することとした。その結果,調査の時期のタイミングとして退院が前日に決まりすぐに退院され,調査できる機会を逃してしまうことが数件あった.また,想起することが困難であるため記載できないという意見もあった.医療者側の対象者数名が異動や退職で研究を離脱していることも理由である。
|
今後の研究の推進方策 |
施設の病棟管理者に対象者の選定を依頼し,対象患者のデータ収集の時期を調整して頂いている。今後も,管理者の方と密に連絡を取らせて頂き,調査を遂行していく.
|