「研究の目的」高齢者の簡易栄養状態評価表の結果と角質水分量の関連を明らかにし、ドライスキンの指標としての簡易栄養状態評価表の有効性を検討する。 「研究実施計画」2018年度は当初計画に基づき、協力施設の選定、研究計画の策定を行った。2019年度は、1施設の療養病棟において、冬季に角質水分量の測定とカルテからのデータ収集に基づき簡易栄養状態評価表の得点を算出した。皮膚には季節性があり、冬季は非常に乾燥した療養環境であったことから、夏季の調査の必要性が明らかになった。 「最終年度に実施した研究の成果および研究期間全体を通じて実施した研究の成果」2020年度は、夏季(7月から9月の間)に2つの介護老人保健施設と1つの療養病棟において、入所高齢者および入院高齢者を対象として、角質水分量の測定とカルテからの情報を新たに収集する予定であった。3施設の責任者からは、研究協力の内諾を得て、対象者数の概算や対象者から同意を得る方法などを検討していた。しかし、3月以降のCovid-19感染拡大によって、3施設とも夏季に臨床データを収集できるか否を検討することとなった。その後もCovid-19感染拡大の状況が好転することはなく、6月には3施設から研究協力を辞退する旨の申し入れがあったため、夏季のデータを収集することをやむなく断念するに至った。研究期間全体を通じて実施した研究の成果として、先行して収集していた冬季のデータを検討した。1施設の対象高齢者の栄養状態が一様であったこと及び冬季の角質水分量が環境の影響を受けて低値に偏ったことなどから、高齢者の簡易栄養状態評価表の結果と角質水分量に有意な関連は認められず、ドライスキンの指標としての簡易栄養状態評価表の有用性は今後の課題となった。
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