本研究の目的は、手術療法を受けた後、外来通院にて術後補助化学療法を継続している膵臓がん患者が、限りある時間をその人らしく前向きに生きるための外来看護支援プログラムを開発することである。総合病院にて膵臓がんの手術を受けた後、外来通院にて術後補助化学療法を継続している膵臓がん患者にインタビュー調査を行い、患者の思いを明らかにした。患者は、〈膵臓がんの再発・転移が心配だ〉〈しびれや目の見えにくさが治ってほしい〉〈家族とともに膵臓がんと闘っている〉〈膵臓がんの検査や手術、抗がん剤治療を乗り越えられた〉〈手足のしびれのせいで思うように暮らせない〉〈家族が自分の病気を心配している〉といった思いを抱きながら治療のために外来通院していることが明らかになった。患者は侵襲の高い膵臓がんの手術を乗り越えられたことを自身の強みとし、現在は、家族とともに術後補助化学療法に伴う有害事象の緩和に向けて取り組んでいた。これらの結果より、術後補助化学療法に伴う有害事象、特に末梢神経障害への支援を強化することや、患者と家族が支え合いながら闘病できるように支援することが求められると考えられる。 治療期にある膵臓がん患者の家族支援に関して、国内論文を対象に文献検討した。対象となった21件の論文より、看護支援として、患者のみならず家族からも療養生活の受け止め方などの思いや意見を聞くといった「患者家族双方の思いの表出を促す」こと、「医師の説明の補完をする」こと、「補助化学療法に伴う有害事象への対処行動の掲示や情報提供をする」ことなどが明らかになった。患者が外来通院する際に必要な看護支援を受けられるためには、患者と家族が思いを表出できる環境を整えることや、末梢神経障害のセルフケア能力の向上に向けた支援の検討が必要である。
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