研究課題/領域番号 |
18K17536
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研究機関 | 医療法人沖縄徳洲会湘南鎌倉総合病院(臨床研究センター) |
研究代表者 |
和田 美也子 医療法人沖縄徳洲会湘南鎌倉総合病院(臨床研究センター), その他臨床研究, 研究員・医長 (30381677)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | オンコロジックエマージェンシー / がん救急 / 薬物療法 / 継続看護 / 治療の意思決定 |
研究実績の概要 |
本研究は、がん薬物療法におけるエマージェンシーに関するケアモデルの開発を目的としている。 2年目である2019年は、がん拠点病院を研究フィールドとし、救急外来に所属する看護師3名、外来化学療法室に所属する看護師3名、救急受診の経験のある患者2名に、救急受診に至る状況、ケアの実践、思いなどのデータを個別面談にて得た。その結果、救急の看護師からは、自分たちのできることに限界を感じながらケアを行っていること、ケアの評価が難しく手ごたえを得にくいこと、薬物治療中のがん患者のアセスメントの視点や家族ケアについて知識を深めていきたいが、時間と機会が少ないことなどが明らかになった。患者からは、24時間いつでも受診しても良いという安心感、手際よいケアによる原因究明や身体症状緩和に対する信頼感、体調が悪い状況で既往歴から詳細に伝える辛さ、自分や家族の思いを察してもらう難しさなどが見出された。また外来化学療法室の看護師からは、患者の救急受診行動をセルフケア行動と関連させて捉えていること、患者に受診状況を振り返って話してもらいながら患者や家族の判断やリソースを査定しケアにつなげていることなどが明らかになった。 これらの質的結果から、がん薬物療法におけるオンコロジックエマージェンシーのケアモデル案作成の視点として、外来化学療法室や救急など、薬物療法を受ける患者が受診する場におけるケアの特徴を示すと同時に、切れ目なく個別性を尊重したケアが実践できるように、救急受診を視野に入れた継続看護を可能にする情報共有の仕組みが必要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2年目にて質的調査を終えることができ、救急や外来化学療法の救急時に関わるケアの特徴、そのケアを受ける患者の体験や思いなどが明らかになった。また個別性のあるケア継続を可能にするための情報共有の仕組みの必要性も見出さされた。 しかし、新型コロナウイルスによる影響にて研究活動を中止せざるを得なかったため、がんCNS、クリティカルCNS、薬剤師、専門医、救急専門医などの専門家との意見交換が行えず、モデルを作成、洗練するには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年は、まずケアモデル作成と専門家との意見交換によるケアモデル洗練を行う。その後、現在の研究フィールドにて、ケアモデルの検証と評価のための量的調査研究につなげる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究対象者への謝礼金が不要となったため。
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