研究課題/領域番号 |
18K17537
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
北村 佳子 金沢医科大学, 看護学部, 講師 (20454233)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 臨床看護師 / スピリチュアリティ / 離職意思 / COVID-19 / 自記式調査 / 横断調査 |
研究実績の概要 |
本研究は外来がん看護に携わる臨床看護師のスピリチュアリティとスピリチュアルケアの実態を調査し、外来通院中のがんサバイバーのスピリチュアリティを支える支援モデルの構築を目的とした。 令和元年度は臨床看護師を対象にスピリチュアルケアに関する講座と演習を含んだ研修会を開催した。また、がんサバイバーに対し、彼らのスピリチュアリティを、国際尺度であるEORTC QLQ-SWB32を用いて無記名自記式アンケート調査を実施した。 令和3年度は、臨床看護師に対する聞き取り調査からCOVID-19によって業務の内容や量が変化し、心理的負担が明らかとなった。そこで、先行研究を参考に自記式のオリジナルアンケートを作成し、Webベースの調査を実施した。その研究に関しては、以下のとおりである。 625名の臨床看護師のうち,152名(24.3%)から回答があり,84名(55.3%)の回答を分析した。合計49名(58.3%)の臨床看護師が現在の仕事を辞めたいと表明した。家族の面会制限による業務負担と業務の変化、勤務時間、休日数、睡眠時間の増減が現在の病棟からの内部異動意思に及ぼす影響について二項ロジスティック回帰分析を実施した。将来の離職に至る前に内部異動に影響する要因に注意を図ることが必要とされ、臨床看護師の勤務時間が超過すること、とりわけ30歳以上、経験年数11年以上の看護師により注意を払うこと、夜間の中途覚醒、カウンセリングを受けることを希望するか否かについて注意深くモニタリングしていくことを推奨された。 一方で、経験年数が11年未満で、職場で不安を感じ、職場に行くのが怖く、人と話すのが困難な臨床看護師を定期的にスクリーニングする必要がある。早期の対応により、臨床看護師の離職を防ぐことができるかもしれない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ収集は終了しており、現在は解析中である。また、明らかとなった結果を海外ジャーナル2つに投稿作業中である。1雑誌からリジェクトされたため、再投稿している。もう1雑誌は査読結果待ちの状態である。
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今後の研究の推進方策 |
がんサバイバーへの看護の質を担保するためにも臨床看護師の離職を回避することは重要である。早期の対応により、臨床看護師の離職を防ぐことができる可能性がある。研究者らは得られた結果を解析し、必要な対応を考察し、随時論文投稿していく。 第42回日本看護科学学会学術集会に発表も行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究当初、看護師のスピリチュアリティとがん看護実践内容に関する質問紙調査を計画していた。しかし、臨床看護師に対する聞き取り調査からCOVID-19によって業務の内容や量が変化し、心理的負担が明らかとなった。コロナ禍の影響により業務の内容と量に変化が生じ、看護実践そのものへの心理的負担が大きいことが明らかとなり、研究計画の変更が生じた。当初予定の尺度使用料、人件費・謝金、国内外旅費等が必要なくなったため、次年度使用額が生じた。 今後の使用計画は、英文翻訳校正料や海外ジャーナルへの投稿料とする。また、第42回日本看護科学学会学術集会に発表予定であるため、学会参加費とする。
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