研究実績の概要 |
ツールを開発する上で必要な概念としてセルフマネジメントに着目した。 安酸(2017)によると、セルフマネジメントとは“自分の病気の療養に関するテーラーメイドの知識・技術をもち、生活と折り合いをつけながら、固有の症状や徴候に自分自身でなんとかうまく対処していく”ことである。すなわち、従来の医学モデルのように外来看護師やRTCがKTRのセルフマネジメントにおける課題を一方的に見つけ、指示し、従わせるシステムでは、セルフマネジメントの目標である“クライアントが日常生活における課題を自身の力で解決していく”(安酸,2017)ことが達成できない。今後は医療者だけでなく、KTR自身も自らのセルフマネジメントを自ら適切に評価できるシステムを整備することで、“クライアントと医療者のパートナーシップに基づいて決定がなされる”(安酸,2017)というコンコーダンスモデルでのセルフマネジメント支援がなされるのではないかと考えた。 2018年度は、腎移植後1年以降も長期的かつ継続的にKTRが自身のセルフマネジメントを容易に評価でき、外来看護師やRTCもKTRのセルフマネジメントをKTRの生活との折り合いの視点で評価できるツールを開発するための項目を精錬することを目指し、腎移植レシピエントのセルフマネジメントに関する国内外の文献をレビューした。また、移植コーディネーターへの面接調査を行った。その結果をもとに現在、ツールの項目を洗練している。 ツールの項目が洗練され次第、所属機関の倫理委員会の承認を受け、調査を開始する。
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