本研究は、手の平で直接身体に触れて振動を与える看護技術の定量的測定を目的としている。 現在までの調査と検証で得られた知見は大きく別けて2点である。1点目は「技術の振動の周波数」である。加速度計を用いて周波数の調査を行い、本技術の振動周波数が8.3±1.9Hz(超低周波)であり、「技術習得してからの期間」と周波数に正の相関がみられた(技術習得してからの期間が長い程、周波数が高い傾向)。2点目は「ケアが生体に与える効果」である。高齢者を対 象に、「用手微振動法によるケア(意識的に振動を与える)」と「振動のない触れるケア(本技術と同一方法で行うが身体に触れるだけで振動を発生させない)」とを比較し、心拍変動の解析による自律神経検査機器と筋硬度計を使用し検証した。現在分析中であるが、本技術は筋硬度を低下させ、交感神経を高める可能性が示されている。本研究過程として、①「各種機器の選定」、②「機器を用いた事前テスト」、③「予備試験」、④「本試験」、⑤「得られた結果の解析・検証」としている。最終年度は③~⑤を進めた。新型コロナウィルス感染症の流行期間と本課題の研究期間が重なった影響により、当初予定していた研究フィールドと対象の確保が難しかった。過去に得られたデータの再分析とケーススタディとして技術の効果の検討を行なった。本研究テーマの新たな知見とともに検討課題も見いだせたと考える。今後、本成果をまとめて関連の学術誌等への投稿を進めていきたい。
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