本研究は、脳卒中患者の家庭血圧測定行動の獲得を目指した入院中から退院後にかけての教育プログラムを構築し、その効果の検証を行うことを目的としている。効果の検証として、無作為比較試験の臨床研究を行い、データ収集・分析を完了した。 なお、介入群に対するプログラムとしては、研究者が入院中から退院後にかけて、6ヶ月間(計5回)、面談および電話(1回あたり15~30分間)での支援を行った。教育媒体としては、血圧計 (テルモ電子血圧計: アームイン血圧計P2020) の貸し出しと、テキストブックおよび自己管理手帳の提供とした。対照群に対するプログラムとしては、介入群と同じく初回の説明と教育媒体の提供を行うが、その後の6ヶ月間の面談および電話での支援は行わなかった。 調査は、2つの研究実施施設において実施した。48人の脳卒中患者を登録し、介入群と対照群への割付を行った。同意率は82.8%で、同意後に4人(介入群2人・対照群2人)の同意取り消しがあったため、脱落率は8.3%であった。そして、結果として、主要評価項目の家庭血圧測定実施率は、登録後12ヶ月時点で介入群の方が対照群に比べ、有意に高かった(p<.001)。また、副次的評価項目の家庭血圧測定実施率(登録後1ヶ月時点・登録後3ヶ月時点・登録後7ヶ月時点)においても、介入群の方が対照群に比べ、有意に高かった。これは、発症前 (研究開始前) の家庭血圧測定実施に介入群と対照群では差がなかったため、看護師による継続的な支援の効果の可能性が考えられる。
プログラムの普及のために、脳神経看護の初心者・中堅看護師に対して、オンラインでセミナーを開催した。セミナー受講者の評価としてはおおむね良好であった。
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