妊娠先行型結婚は母親役割獲得に大きな影響を与えていることが明らかになっているが、父親にもたらす影響は明確になっていない。そこで、本研究では、妊娠先行型結婚をした父親を対象に質的研究を実施することにより、妊娠先行型結婚をした男性が父親役割に適応していくプロセスを明らかにすること、および父親のケア・ニーズを明らかにすることを目的とした。 2022年度は引き続き、新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮しながら、調査対象者の選定と面接協力依頼を行った。そして、同意が得られた調査対象者にインタビューガイドを用いた半構成的面接を実施した。 面接より得られたデータを逐語録化し、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)法を用いて継続比較分析を進め、「妊娠先行型結婚をした男性が父親役割に適応していくプロセス」について分析した。また、面接データから「父親のケア・ニーズ」を抽出し、意味内容の類似性に従ってコーディングし、カテゴリー化した。さらに、研究代表者らが実施した「妊娠先行型結婚をした女性が母親役割に適応するプロセス」の研究等、先行研究と比較しながら、妊娠先行型結婚をした父親独自に必要な支援方法を導き出した。 前年度に続き、実践的グラウンデッド・セオリー研究会(web開催)に参加し、M-GTA分析手法の精度向上に努めた。また、母性看護学、助産学に関する学会に参加し、父性の発達・家族の発達に関して情報収集を行った。
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