研究課題/領域番号 |
18K17559
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
秋月 百合 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 准教授 (90349035)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 妊孕性 / リプロダクティブヘルス / 性に関する指導 / 不妊 / 保健科教育 / 学校教育 / 養護教諭 / 保健体育科教諭 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度の調査結果を踏まえ、高校保健体育科教諭および養護教諭、当該教諭を目指す教育学部4年生を対象とし、妊孕性教育実施のためのFertilityハンドブックを作成した。月経周期、妊娠のプロセス、妊娠しやすいタイミング、妊娠適齢期、不妊症と生殖医療、喫煙と妊孕性、痩せと妊孕性、肥満と妊孕性、性感染症と妊孕性について、20頁のハンドブックを作成した。専門用語をより分かりやすく解説し、影響の科学的根拠としてデータを引用し、また見やすいようイラストを工夫した。 Fertility ハンドブックの活用効果を検討するために、教育学部4年生の保健体育科学生および養護教諭養成課程学生を対象に、介入研究を行った。その結果、養護教諭学生においては、妊孕性の知識に関する主観的認知度は、23項目すべてにおいて、ハンドブック学習前より後の方が有意にに高まった。一方高校卒業までに知っておいた方がよい項目は、23項目中5項目(男性の加齢の影響、卵子の産生頻度、妊娠しやすい時期、不妊頻度等)であった。保健体育科学生においても、学習前より後の方が認知度が高まった。本結果から、当該ハンドブックの有効性が示唆された。 昨年度実施した高校保健体育科教諭および養護教諭の妊孕性教育に関する調査結果について、最終的にまとめを行い、調査協力者の教諭に結果を報告した。 当該年度は、男子大学生への不妊予防教育の効果を縦断的に検討した結果を論文投稿し、「母性衛生」において掲載受理された。また、熊本市民公開講座においてリプロダクティブヘルス&ライツの概念について講演し、熊本県助産師会において学校性教育を担う助産師を対象としたビギナー向け学校性教育を実施する際のポイントについて講演を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度は、高等学校に勤務する保健体育科教諭および養護教諭の妊孕性に関する知識について、また指導経験や意識についてアンケート調査結果を整理し、年度早めに調査協力者へ報告する予定であったが、調査結果をまとめるのに時間を要し、数カ月の遅れがあった。また、学習指導要領の改訂に伴い本結果を可能な限り速やかに論文として公表する必要があるが、まだ公表できていない。 また、Fertility ハンドブックを作成し、教育学部4年生の保健体育科学生および養護教諭学生を対象に効果を検討したが、結果の整理が終了していない。 これらのことから、当初の予定より、若干の遅れが生じていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、高等学校に勤務する保健体育科教諭および養護教諭の妊孕性に関するアンケート調査結果を整理し、可及的速やかに学術雑誌へ論文発表する。 また、作成したFertility ハンドブックの効果を教育学部4年生の保健体育科学生および養護教諭学生を対象に検討した結果について、統計的分析をより深め整理したうえで、結果を公表する。さらには、必要に応じて高等学校教諭へハンドブックを配布したり、研修会を開催したりする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由として、まず、新型コロナウイルス感染症の流行の繰り返しにより、国内外の各学会や研修会・研究会が中止またはリモート開催となり、旅費および学会等参加費が不要となったことが挙げられる。そして、研究結果の公表に遅れが生じ、公表にかかる費用が未発生であることが挙げられる。
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