本研究では、離島などの遠隔地に居住する等の物理的な問題により面会を制限されるNICU患児の家族に対して、インターネット環境を通じて子どもの様子を見る(模擬面会)することができ、テキスト等での医療者との情報交換やコミュニケーションがとれるFCCのケアのツールを開発すること、普段使用されている日記帳と結果を比較し、模擬面会・交換ツールの特徴を明らかにすることを目的に調査を行った。日記帳の思いについては母親の思いは【空白の時間を少しでも埋められて心を前に押してくれた】【看護者の寄り添いに感動した】【自分の余裕がない中で子どもの記録として残してくれた】【成長した子どもに自身の頑張りと医療者への感謝を伝えたい】であった。模擬面会ツールはリアルタイムに情報交換ができることが特徴的であり、子どもに対して。母親は、リアルタイムで子どもの様子や成長を見たり聞いたりすることで、一緒に生きていることを実感し、自身の気持ちが救われていた。そして家族と共有することで新しい家族の一員として早く迎え入れたいという思いになっていた。さらに看護職者とやり取りをする中で、看護職者との絆の深まりを感じている様子がみられたことから、看護職者と母親の信頼関係構築にも影響を与えたことが明らかとなった。以上より、日記帳は記録として残しその後活用したい思いが特徴的であったが、模擬面会ツールでは母子分離期間中においても情報交換が行えることから、愛着形成により早い段階で母親に影響を与えたことが考えられた。また、医療従事者との信頼関係構築にも寄与したことが考えられたが、どのような情報をどのような内容で母親に届けるかについては、医療従事者も母親の思いを汲み取った上で、不安を大きくさせずに軽減できるような言葉選びや映像などを選択することが重要と考えられた。
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