本研究は、抑うつ症状(EPDS)と不安(STAI)に加え、コルチゾールとオキシトシンを指標とし、妊娠中期の不安・抑うつ症状と分娩期の異常との関連、妊娠中期の不安・抑うつ症状と産後3か月までの不安・うつ症状との関連、分娩期の異常と産後3か月までの不安・うつ症状との関連の3つ明らかにすることを目的とした。 2018~2019年度に対縦断的調査を行った。2020~2022年度には、研究①(妊娠中期の抑うつ症状・不安と出生体重との関連)と研究②(妊娠中の抑うつ症状・不安と産後のボンディングとの関連)を研究成果としてまとめ、それぞれ学会発表と論文投稿を行った。また、研究③(妊娠中期から産後3か月までの抑うつ症状の有病率と産後直後から産後3か月までの抑うつ症状のリスク要因)の研究成果は、2023年度に国際学会で学会発表し、現在論文投稿中である。産後直後では妊娠中の体重増加が、産後2週間では出産満足度とアプガースコア1分値が、産後1か月では出産満足度と産後1か月のボンディング障害が、それぞれの時期の抑うつ症状と関連していた。また、どの時期においても妊娠中の抑うつ症状と不安は産後の抑うつ症状と関連していなかった。更に、研究④として、妊娠期と産後の抑うつ症状のリスク要因について一般化推定方程式を用いて分析し、研究成果を国際学会で発表した。妊娠期は妊娠中期と後期で抑うつ症状に関連はみられなかったが、産後は産後直後を基準とした場合、産後2週間、産後1か月および産後3か月においてそれぞれ負の関係がみられた。また、多変量解析の結果、妊娠期の抑うつ症状には妊娠中の体重増加が、産後の抑うつ症状には妊娠中の体重増加、早産児、および産後の社会的サポートが関連していた。
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