本研究は小児科外来における医療関連感染予防に寄与することを最終目的とし、保護者の感染予防に関わる認識と小児の行動の実態を明らかにすることで、小児科外来受診時に小児が適切な感染予防行動を行うために必要な支援を検討することを目的とする。新型コロナウイルスの感染拡大により、予定していた研究協力施設との調整が困難な状況が続き、病院施設での調査も困難な状況が続いたため、研究方法の検討を行い、病院施設での調査からインターネット調査へ調査方法を変更した。令和4(2022)年度に変更した研究計画書で名古屋市立大学大学院看護学研究科研究倫理委員会の承認を受け(承認番号:22023)研究を開始した。1年以内に未就学児の小児科外来受診に付き添いをした保護者を対象とし、インターネット調査会社の登録者へスクリーニング調査を行い、上記対象条件にあう方へ回答を依頼した。保護者400名から回答を得た。付き添われて受診をした小児は、1歳未満72名、1~3歳12名、3歳以上206名であった。記述統計、および統計学的分析を行った。小児科外来受診時の感染予防の重要性について85.8%の保護者が認識していたが、外来受診時の小児のどのような行動で感染の危険性があるかを認識していない保護者が40%程度いた。小児が適切な感染予防行動を行うためには保護者による支援が必要であり、保護者の認識を高めることで、小児の行動が改善される可能性が示唆された。一方で小児の感染予防行動の実施状況について、31%の保護者は小児に実施させたいと考える行動を実施させることができていないと回答した。1~3歳の小児の保護者に多く(1~3歳vs.3歳以上、p=0.005)、小児の行動の実態でも1~3歳の小児が有意に実施できていない行動があり、保護者の認識と同様の結果であった。分析結果をまとめ、学会発表を行い、論文投稿準備を進めた。
|