本研究は,Duchenne型筋ジストロフィー患者の家族がSOC(首尾一貫感覚)を育み,家族が健康の維持・増進を目指すための家族支援ガイドラインの開発を目的としている. SOCは,自分の内的・外的な環境が予測可能であり,また,ものごとが適度に予測されるばかりか,うまく運ぶ公算も大きいという確信の程度によって表現される,世界(生活世界)規模の志向性である. 平成28年度より本研究者が実施した「成人期のDuchenne型筋ジストロフィー(DMD)療養者を内包する家族が直面する課題と効果的な看護支援方法の考案」の記述内容と先行研究により,DMD患者の家族がDMDの進行に伴う症状や治療などへの対応のみならず,家族構造や機能の変化に伴う家族発達に関連する課題に取り組みながら,SOCを育んでいることが予測された.そのため,Step1からStep5の5段階を経て家族支援ガイドラインの開発に取り組む予定であった. しかし,covid-19の感染拡大に伴い,DMD患者の家族へのインタビュー調査とDMD患者の家族に関わる専門職とのFGI(フォーカス・グループ・インタビュー)が困難なため,研究計画の修正を要した. DMD患者の家族へのアクセスが困難なことから,DMD患者の家族と関わる看護師に質問紙調査を行い,DMD患者の家族がSOCを育むための看護実践について基礎調査を行い,その実態と特徴を明らかにした.
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