研究課題/領域番号 |
18K17573
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研究機関 | 沖縄県立看護大学 |
研究代表者 |
上原 和代 沖縄県立看護大学, 看護学部, 准教授 (70406239)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 退院準備性 / 日本語版 / NICU / 親 |
研究実績の概要 |
本研究は平成27年度~平成30年度に獲得した若手研究(15K20742、最終年度は本研究助成期間と重複)の継続調査である。本研究の目的は、日本語版療養中の子どもの親用退院準備性尺度(Japanese Readiness for Hospital Discharge Scale-Parent Form,以下JRHDS-PF、原版はWeiss,2007)の実用化と海外への調査結果の発信である。 平成26(2014)年8月~平成27(2015)年3月に行った沖縄県の4つのNICUでの調査を踏まえ、JRHDS-PFの日本での標準化を目的に関東、関西、沖縄にある3つのNICUでの調査を平成28(2016)年10月~平成30(2018)年3月に実施し、データ収集を完了した。平成30(2018)年度はデータ分析を進めながら結果の一部を国際学会で発表する準備をした。 沖縄調査で得られたデータから得られたJRHDS-PFの因子構造は日本看護科学学会(2018年12月,松山)で、JRHDS-PFの基準関連妥当性を測る尺度として使用したTransition Questionnaireの改訂版である、Transition-to-Home: Premature Parent Scaleの日本語版(以下、JPTQ)の因子構造は、国際新生児看護学会(2019年5月,オークランド)で報告した。オークランドではTransition-to-Homeの開発者へ会うことができ、調査結果を直接報告できた。 今後は成果の海外誌への投稿準備とともに、2つの調査データを合わせJRHDS-PFの因子構造の再分析を行う。さらに、JRHDS-PF低得点の参加者の退院後の状況をカルテよりデータ収集し退院準備性得点と退院後の適応の関係を分析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では平成30年~31年度中にJRHDS-PFが低得点であった参加者の退院後の適応状況を救急外来受診、再入院、子どもや親の健康状態など、カルテから追跡する予定であった。平成30(2018)年度は完了した調査データの分析、国内学会報告、3年に1度開催される国際学会への報告準備が先行したが、平成31(2019)年度は調査施設へ赴いて低得点の親子の退院後1~2年のフォローアップ状況を把握し、JRHDS-PF、JPTQのカットオフポイントを検討するなど、JRHDS-PF得点の予測性を評価する。
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今後の研究の推進方策 |
2019年5月に国際新生児看護学会へ調査施設の協力看護師(小児看護専門看護師、新生児看護認定看護師ら)と共に参加し、海外へ研究成果を発信することの重要性を共有できた。現在の調査施設においては今後の調査への継続的な協力体制が整っていると考える。 また、調査協力施設以外からも、JPTQやJRHDS-PFを自施設のNICU退院支援の評価等に利用したいといった内容のメールを受けている。2020年に向けては各尺度を国内の多くの施設が利用しやすい形態に整えたい。多くの施設の臨床の看護実践の質評価に利用されることで、尺度は洗練され、海外のデータとの比較が可能となると思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本調査の継続のために若手研究の期間の区切りであった平成30年度に資金不足とならないよう、宇流麻学術研究助成基金(1年間25万円)を申請し、受託することができた。国際学会の参加費や海外渡航費の一部を上記基金で補填することができ、平成30年度の特に旅費の支出が予定よりも抑えられた。 2019年度は従来の調査協力施設への旅費に加え、新規に尺度を利用したいと申し入れがあった施設への訪問のための旅費、尺度を利用しやすい形態(アプリやオンラインの入力フォーム)へ作成しなおすためにプログラミング等の専門家へのコンサルタント料などが予定よりも多くなることが予想される。
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