乳幼児の予防接種に関する保護者への説明を「いつ・どこで・誰が」行うのが最も効果的かについては、統一認識がされていない。既存の予防接種教育用資料は様々に存在しており、母子手帳に記載されている内容の参照や 市町村作成の資料、製薬会社のパンフレットなどを使用しているのが現状である。 申請者も参画した「日本/米国小児科学会合同予防接種プロジェクト」で新たに作成されたユーザーフレンドリーな内容の教育用ツールである日本版ワクチン・ インフォメー ション・ シートの「知っておきたいわくちん情報」を使用し、効率的な乳幼児の予防接種教育プログラムの効果の検証をすることを目的としてい る。 この教育用ツールを介入時期により組み合わせながら教育的介入を実施いていくことで、専門職間での情報提供者内容の相違をなくし、保護者が接種への 意思決定のために必要な一定の質と十分な量の情報を得られると考えられる。 具体的な研究計画としては、新しく作成された教育用ツールを使用し、段階的に実施する乳幼児の予防接種教育プログ ラムの効果を、接種率、予防接種スケ ジュール遵守率、保護者の知識・態度・信念を成果指標とし、新たな教育プログラムの効果を明らかにする。 初年である2018年度は、協力医療機関のリストアップならびに所属機関への倫理申請を終了した。2019年度は、アンケート調査のパイロットスタディを実施し、 調査項目の精査並びに修正を行った。COVID-19の感染拡大に伴い、リクルートが延期され、同時に対面での教育的介入が困難であると判断し、紙媒体での教育用 資料の配布ではなく、電子媒体での配布に変更するための倫理上の申請手続きなどを再度行った。2020年度は、各医療機関に研究協力依頼と研究説明会の実施を行い、研究参加者のリクルートを開始し、本調査を開始し中間調査を実施した。2021年度は、事後調査の実施を行った。
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