研究課題/領域番号 |
18K17581
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
田村 知子 東京医科大学, 医学部, 准教授 (10352733)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 子ども虐待 / 虐待スクリーニング / 簡易子ども虐待ポテンシャル尺度(BCAP) / 虐待予防 / 身体的虐待 / マルトリートメント / 不適切な養育 |
研究実績の概要 |
現在「産後うつ」のスクリーニング尺度は広く使用されているが、虐待に特化した簡便なスクリーニング尺度はほとんど活用されていない。本研究ではMilner(1980)が開発した身体的虐待のリスクをスクリーニングする160項目の虐待ポテンシャル尺度とこれを基にOndersmanら(2005)が改良した34項目の簡易版の2つの尺度に注目した。日本国内の虐待予防の視点に立った「日本語版簡易子ども虐待ポテンシャル尺度(Brief Child Abuse Potential Inventory: BCAP)」の実用化に向けその評価と検証を目的とする。子どもを養育する前に虐待のスクリーニングを行うことは、予防的な介入を可能とする。そのため妊娠中、出産後の女性とそのパートナーの虐待リスクの経時的変化も明らかにしていく。 本研究は①簡易版の信頼性・妥当性の検討の評価、②出産前から使用可能な虐待予防のツールとしての有用性の検証の2つから構成される。 2020年度は②出産前から使用可能な虐待予防のツールとしての有用性の検証のため、妊娠中から産後4か月の同一カップル899名(妊婦453名、パートナー446名)に対しCAPと女性にはエジンバラ産後うつ病自己評価票(以下EPDS)も合わせ調査を行った。調査は妊娠中、産後1か月、産後4か月の3回行い、経時的な得点の変化をみた。統計解析はJMPを使用し反復測定による一元配置分散分析、Tukeyの多重比較検定を用いた。妊娠中285名、産後1か月220名、産後4か月192名から回答を得た。CAP平均得点は妊娠中85.5点、産後1か月84.7点、産後4か月87.3点(p=0.76)と出産や産後の育児というイベントでCAP得点は変わらず、出産前から虐待ポテンシャルは変わらないことが予測されている。さらに簡易に使用できる簡易版の34項目に対しても分析を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
妊婦、妊婦のパートナーの調査依頼時期が当初の予定より遅れたことと、配布数と回収率が想定した数値より低かったため、調査時期を延長した。その結果、進捗状況に遅れが生じたがすべてのデータが揃い分析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
必要なデータが揃ったため、順次分析から進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症拡大に伴い、データ収集施設等に行くことができず旅費に差額が生じた。
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