研究課題/領域番号 |
18K17596
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研究機関 | 福井医療大学 |
研究代表者 |
吉田 美幸 福井医療大学, 保健医療学部, 教授 (50465845)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 幼児 / 親支援 / 協働 / 看護 / 採血 |
研究実績の概要 |
2020年度は、検査・処置を受ける幼児の親と看護師との協働に基づく親支援プログラム試案作成に向けた親と看護師との協働要因・親支援項目抽出のために、2019年度に調査した小児科外来で採血を受ける幼児後期の子どもに付き添った母親への面接内容を、再分析した。その結果、以下のことが明らかになった。母親は、子どもの普段の姿を拠にして、子どもの不安・恐れ・嫌・我慢を読み取ったり、子どもの傍に居ることで安心したり、子どもが抱いた恐れや痛みへの辛さや我慢を受けとめるという「感情の包容」をしていた。また、母親は、「安心の拠り所として子どもを見守る」とともに、「子どもが意思表出できるように寄り添って」いた。そして、採血を受ける子どもに付き添う中で、「痛みや恐れを我慢し、自分で取り組もうとする子どもの成長に気づき、受けとめ」ていた。加えて、母親は、医療者に子どもの気持ちを代弁し「医療者との橋渡し」をしたり、子どもの誇りを支えたり、看護師に協力するという母親としてできる「精一杯の後押し」をしていた。一方、子どもが表出する不安や恐れ、嫌だという思いに困惑し、処置をスムーズに終われない焦りを感じたり、子どもに期待するあまり、「子どもの不安・恐れ・嫌に巻き込まれ」た母親もいた。しかし、子どもに巻き込まれた母親であっても、嫌がる子どもに合わせて看護師が採血を進めていたり、子どもにわかるように看護師から説明してもらえているという「医療者からの支えへの受けとめと信頼」の中で、母親が安心して子どもに付き添え、子どもを支えられていたことが明らかになった。 今後、このような母親の子どもへの支援のあり様をふまえ、看護師が、検査を受ける子どもを支えるパートナーとしての親と協働するための、親支援に向けた具体策を検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度は、2019年度に引き続き、検査・処置を受ける幼児の親と看護師との協働に基づく親支援プログラムの試案作成に向けた支援内容抽出のために、看護師のリクルートと調査研究を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症のために、研究参加者を募ることが困難となった。さらに、新型コロナウイルス感染症に対する学内感染予防対策に向けた会議や、学生指導、教育内容・方法の変更、および、2022年度のカリキュラム改正に向けた検討に時間を要した。以上の点から、予定していた調査の実施が困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、2019年度に行った幼児後期の子どもの採血場面への親参加に対する親や看護師への調査及び分析を継続して進めるとともに、2018年度に行った文献検討及び概念分析の結果と併せて、親と看護師との協働要因・親支援項目を抽出し、「検査・処置を受ける幼児後期の子どもの親と看護師との協働に基づく親支援プログラム」試案の作成と評価指標を検討する。また、作成したプログラム試案に対する看護師と研究者による検討会を開催して協議し、試案の精選を行う。さらに、研究参加の同意が得られた看護師により、親支援プログラム試案を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により、調査研究が予定通り進められなかったこと、学会や研修会への参加を見合わせたためである。
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