【背景】本研究の目的は東日本大震災被災自治体における地域見守り活動に必要な要素は何か、その効果とは何かを明らかにすることである。 【方法】東日本大震災の被災地であるA県B町で、高齢者の見守り活動を積極的に行っている災害公営住宅団地をフィールドにフィールドワークを行うと共に、インタビュー調査を実施した。①見守り活動を受けている高齢者6名、②見守り活動に関わっている住民6名、③住民の見守り活動を支援している機関のスタッフ2名 【結果】調査を行った団地では、住民ボランティアが高齢者を定期的に訪問する見守り活動の他、気軽に立ち寄れる常設のカフェの運営、運動や趣味活動といったサークル、自治組織が実施する各種イベントが実施されており、「多元的、重層的な見守り体制」があった。それらの活動は団地のキーパーソンを中心に情報交換を行うなど、「有機的に連携」していた。そして、団地の高齢者は、「自分の希望でそれらの活動に参加、利用」していた。定期的に訪問する見守り活動は、災害公営住宅の自治組織が定めた「ルールに基づいて実施」されていた。ボランティアとして活動する住民には研修が実施され、見守りをする高齢者に対応が必要な場合は、社会福祉協議会や地域包括支援センターの協力を得る「サポート体制」が整えられていた。その様な、地域見守り訪問活動は、それ受けている高齢者に、安心感、生活の楽しみと共に、訪問した人に、自分が変わりないことを示すという役割を与えていた。さらに、地域見守り訪問活動は、訪問した人から紹介されて高齢者が地域のイベントに参加する等、地域社会への架け橋となっていた。 【結論】調査を行った団地では、活動が有機的に連携する、多元的、重層的は見守り体制があった。地域見守り訪問活動は、それ自体が高齢者に安心感等を与えただけではなく、高齢者の地域社会との架け橋となっていた。
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