研究課題/領域番号 |
18K17599
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
高橋 在也 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任研究員 (30758131)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 文化 / エンドオブライフ / 死生観 / good death |
研究実績の概要 |
論文「生活の繊細で感知されない側面:コロナ禍の課題から考える エンドオブライフケアにおける文化の役割」が『日本エンドオブライフケア学会誌』に掲載された。 本研究の開始時は、コロナ禍という特殊事情が想定されていなかったが、むしろコロナ禍におけるとりわけ看取りの諸問題を通じて、本研究の目的である死生観をめぐる問題が急激に浮上した。 上記論文は、1)新聞社説等の一般的記事から、コロナ禍における看取りの諸問題をとりあげ、2)英語圏の論文のラピッド・レビューから海外における取り組みを概観し、3)「文化」の概念を用いて急速な感染症拡大期において、見過ごされがちな要素を明確化した。 なお、上記論文は、本研究代表者が第一著者として刊行した認知症のgood deathに関するスコーピングレビューの知見も一部参照している(ただし、この論文は、本研究の直接の成果ではない)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
成人教育学における対話理論の概観については、2019年末の生命倫理学会での学会発表の原稿であらかたをまとめてあるが、なお説得力ある論文に仕上げるのに時間を要している。 一方で、ACPの議論はわが国においても、狭義の治療選択肢の決定支援から、生活のQOLに関わる議論にかなり拡大して議論されてきており、それらの知見をまとめる必要が出てきている。 専門職と市民がそれぞれの技能と経験を混じり合う形での死生観教育という点では、市民の経験を構成する構成要素の明確化が重要であり、先行研究の知見の整理が必要である。 当初予定していた、公民館等でのパイロット的な市民を対象としたプログラムは、コロナの影響で困難となっている。
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今後の研究の推進方策 |
上記、新たに明確になってきた知見の整理を、文献レビューの形で整理したい。 具体的には、1)ACPのとりわけ教育的介入の構成要素の明確化、2)市民の経験の構成要素の明確化、3)成人教育の対話理論のレビューと1)、2)との関連性の明確化を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本来予定していた海外および国内での学会発表が中止となったことで、旅費の支払い分が計上されなかった。また、公民館でのパイロット介入に必要な人件費等も、コロナ禍の影響で介入が難しくなったこともあ理、計上されなかった。残額については、40万円程であり、主な学会がオンライン開催になったので、主に文献購入費・消耗品費、および学会参加費として支出したい。
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