最終年度の成果として、本研究の成果として、「対話とは何か───対話の自己内対話性」の論文を公刊した。本研究における大きなテーマである対話について、「対話とは、自分の言葉が大切にされる体験であり、暴力を遠ざけるもの」という暫定的定義を提唱した。それを補助する対話の4つの性質を以下のようにまとめた。1、推論(discourse)がひとりで行う行為であるのに対して、対話(dialogue)はひとりでは行いえない。2、対話をするとき、ひとは自分自身とも対話している。(対話の自己内対話性)3、自分自身との対話とは、思考のことであり、対話においては(思考に由来する)「自由な迷い」がある。4、のびやかな雰囲気のなかで、他者に対して、またそれ以上に自分自身に対して意識が開いている。 対話のもつ暴力への抵抗的性質、あるいはより正確には、を暴力ではない別の生き方に導く性質については、今後さらに研究を推進する必要がある。
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