研究課題/領域番号 |
18K17603
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
龍野 洋慶 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (70782134)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 家族介護 / 介護負担感 / 睡眠 / Well-being |
研究実績の概要 |
日本国内データの分析結果は、客観的な睡眠データに基づく睡眠と介護負担感の関連、および関連に影響が考えられる要因を解析し、客観的に測定した睡眠時間の短縮が介護負担感の増大に有意に影響すること、その他にも要介護者のWell-beingなどが影響することが明らかとなり国際学術雑誌に研究成果を報告した(Ryuno H et al. Psychogeriatrics 2020)。更に家族介護者の就労の有無の睡眠と介護負担感との関連への調整効果が明らかとなり、国際学会(IAGG Asia/Oceania regional congress 2019)でシンポジウム発表を行い、国際誌へ現在投稿中である。また、家族介護者の前日の睡眠時間の短縮が翌朝の収縮期血圧の上昇に影響することを多時点データに基づくマルチレベルで分析し国内学会で発表した。 国際比較データ収集のため、2019年8月に台北医学大学の倫理審査の承認を得た。10月に台北医学大学において共同研究者らと家族介護者の主観的な睡眠データに絞ること、両国のサンプルサイズを100組(要介護者と家族介護者)程度となるよう調査することを話し合った。2020年3月より日本においてデイケア利用者とその家族介護者への調査を開始しているが、COVID-19による感染症対策により調査に遅れが生じている。台湾においても調査を予定していた期間にCOVID-19による影響が生じ一時中断している。2019年よりインドネシア大学とも国際比較をすすめられるよう調整した。インドネシア大学において倫理審査の承認を得たのち2019年7月にジャカルタにおいて約130組(要介護者と家族介護者)のデータ収集を終了した。日本とインドネシアとの間で介護負担感への睡眠の関連の相違などサブ解析により明らかとなっており、二国間比較の結果を学会発表していくよう現在調整中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本国内の客観的な睡眠データに基づくベースライン時の睡眠と介護負担感の関連、およびその関連に影響が考えられる要因については国際誌にて研究成果を報告し(Ryuno H et al. Psychogeriatrics 2020)、介護者の就労の有無による睡眠と介護負担感への調整効果についても国際誌に投稿中であり、概ね順調に進んでいる。 一方で国際比較のためのデータの収集はCOVID-19による影響が出ている。2019年8月に台北医学大学倫理審査の承認を得たのち、10月25日に台北医学大学において共同研究者らとともに家族介護者の主観的な睡眠データに絞ること、サンプルサイズが100組(要介護者と家族介護者)以上となるよう日本国内において更に調査をすることを話し合ったが、調査を開始する予定としていた期間にCOVID-19による感染症対策による遅れが生じはじめている。2020年度に安全に配慮し調査が実施できることが分かり次第、調査を進める。 2019年よりインドネシア大学も本研究に参加し、国際比較をすすめられるよう調整した。インドネシア大学において倫理審査の承認を得たのち2019年7月にジャカルタにおいて約130組(要介護者と家族介護者)のデータ収集を終了しており、こちらはおおむね順調に調査をすることができた。現在、日本とインドネシアとの間での介護負担感への睡眠の関連の相違やWell-beingの比較などサブ解析を進めることができており、今後、日本のサンプルサイズが目標数に達したのちに日本、台湾、インドネシア間の国際比較を進め、研究成果を発表することが可能と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究が要介護高齢者及びその家族介護者である地域在住者を研究対象としていることから現在感染が蔓延しているCOVID-19対策を十分に検討し安全に調査を実施していく必要がある。これは本学における方針に基づき、研究協力施設の部門長とも綿密に連携して安全が確認されてから進めることとする。加えて国際比較のためのデータの収集はCOVID-19による影響が出て台湾でのデータ収集がやや遅れていることから、感染伝播の経過を注意深く確認しながら台北医学大学の共同研究者らとともに家族介護者の主観的な睡眠データ、介護負担感などの調査を行うこととする。データ収集後は二国間でのデータ分析を行っていき、国際誌及び国際学会にて成果発表を行っていく。 インドネシア大学とともに行ったデータ収集は完了しており、日本とインドネシアとの間での介護負担感への睡眠の関連の相違やWell-beingの比較などサブ解析を進めることができている。日本の国内学会及び国際学会への発表、国際誌への論文投稿を予定している。今後、日本のサンプルサイズが目標数に達したのちに日本、台湾、インドネシア間の3か国間での国際比較を進め、研究成果を発表することが可能と考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和元(2019)年度の費目別収支状況において次年度使用額(B-A)が生じたが、2020年3月までに国内データ収集のための調査準備及び調査後のデータ入力、論文化にあたっての文献取り寄せなどを人件費・謝金の項目で予算執行を予定していたが、COVID-19の感染症流行に伴う調査の遅延(調査協力先である社会福祉法人介護施設の所在する近畿圏において緊急事態宣言下での研究協力の一時中断の指示)から翌年度に調査がずれ込んでいる。そのため令和2(2020)年度に当該予算を繰り越して人件費・謝金として使用することとした。
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