研究課題/領域番号 |
18K17605
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
磯村 聰子 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (80437623)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 精神障害者 / 保健師 / 民生委員 / 近隣トラブル |
研究実績の概要 |
【目的】近隣トラブルを抱えた精神障害者に関する自治体保健師と民生委員の連携を明らかにすることを目的とする。【方法】2021年1月~3月に近隣トラブルを抱えた精神障害者を支援する民生委員との連携経験を持つ自治体保健師を対象にしたインタビュー調査を実施した。自治体ごとのグループインタビューとし、対応経験のある近隣トラブルを抱える精神障害者の特徴、近隣苦情、近隣トラブルなど精神障害者と近隣住民との関係、見守り、相談など精神障害者と地域組織の関係、保健師と地域組織の連携、精神障害者の利用する資源、地域組織活動の経験年数、精神障害の理解など地域組織個人の背景、近隣交流の程度や地域の文化などの地域性、保健師の活動体制、ケースについての保健所・市町の連携、健康増進部門、地域包括支援センター、障害福祉部門間の保健師の部署間連携の状況について尋ねた。インタビューガイドは2019年度に実施した保健師のヒアリングから抽出し生成した。【結果】2自治体、5名の市町村保健師の協力を得た。インタビュー時間は平均55.5分であった。事例への対応当時は保健福祉部門、福祉部門、保健部門に所属していた。語られた5事例のうち4事例は単身、1事例が夫婦世帯であった。事例の診断名は統合失調症、アルコール依存症、人格障害、精神科通院中で診断名不明であった。近隣トラブルを抱えた精神障害者に関する自治体保健師と民生委員の連携として、保健師は民生委員との普段の連携からどこまで力になってくれるかを予測する、民生委員と可能な範囲で本人の状況を共有する、民生委員とともにサポートしてくれる住民の存在を把握する、本人の住む近隣交流の程度を把握する、本人に近隣住民が気にかけていることを伝える、近隣住民の苦情に対し民生委員と対応方法を話し合うことなどが明らかになった。今後は対象者を増やして分析を深める必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症の影響により、グループインタビューの規模を縮小して実施することとした。対象である保健師とのインタビュー実施の調整に時間を要しているため、やや遅れていると区分した。
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今後の研究の推進方策 |
インタビューの実施期間を延長して研究を進める。現在、協力への同意を得た自治体と調整中である。インタビュー調査への協力を得られた自治体、精神障害者の地域支援を先駆的に取り組んでいる自治体などを対象に地域づくりプログラムの試行の調整をはかる。研究者の訪問が困難な場合には文書とオンラインで研究概要の説明を行うなど、柔軟な方法を提案する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度実施予定であったインタビュー調査は新型コロナ感染症の影響で実施を見合わせた時期があり、当初のインタビューに係る予算執行がなされず、令和2年度実施予定であった分を令和3年度に実施することになったため、令和3年度の支出として使用する。
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