研究実績の概要 |
養育者の高い育児不安は虐待要因の1つであり、重要な公衆衛生学の問題である。1歳6か月児を育てる母親を対象に育児不安と母親のアタッチメントスタイルとの関連を明らかにすることを目的として質問紙調査を実施した。A市における1歳6か月健診にて保健師より母親へ質問紙を配布してもらった。2018年7月から開始したデータ収集は、2019年5月で終了(配布質問紙数:1,399枚、回収数:529枚、回収率:37.8%)し、データ入力・解析を行った。その結果、母親のアタッチメントスタイルの分類は、安定型が65.4%、両価型が20.0%、回避型が14.6%となった。育児不安を抱える母親は約40%であった。多重ロジスティック回帰分析の結果、両価型のアタッチメントを持つ母親は安定型を持つ母親より有意に育児不安が高くなった(オッズ比:2.4, 95%CI:1.5-3.9)。一方で回避型の母親と安定型の母親では育児不安に有意な差が認められなかった(オッズ比:0.9, 95%CI:0.5-1.6)。今回の調査では、父親のアタッチメントに関しては尋ねていない。育児は夫婦で行うものであり、夫のアタッチメントスタイルの育児への影響も今後、考慮していく必要がある。 また、青年期における親性準備性獲得が産後、育児をスムーズに行えるかどうかに関わってくることを考え、青年期の親性準備性にも着目して研究を行った。具体的には看護系女子大学生の親性準備性とその関連要因について横断調査を行い、その結果を国内学会で発表し、その後雑誌に投稿した。
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