研究課題/領域番号 |
18K17607
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研究機関 | 宮城大学 |
研究代表者 |
千葉 洋子 宮城大学, 看護学群(部), 助教 (70757856)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 新卒訪問看護師 / 育成 / 生活 / 生活者 / 判断 / 要介護高齢者 / 看護学生 |
研究実績の概要 |
訪問看護師の質的および量的拡充の一方策として新卒訪問看護師の育成が提言され,訪問看護事業所が独自の育成プログラムを開発しているが,その担い手である看護学生の大多数は病院就職を希望している.そこで,看護学生が自己のキャリアを展望した上で、病院に限らず,新卒訪問看護師も選択肢に含められるような体系的なキャリア教育プログラムを開発することを最終目的として本研究を計画した.しかしながら,看護学生のキャリア選択には実習での経験が深く関与している為,キャリアや進路を選択する一側面のみに焦点を当てると,実態に即さない教育プログラムになる危険性があると判断し,再度文献検討を行った.その結果,新卒者が訪問看護師としてキャリアをスタートする意義や訪問看護師としての成長に関する研究蓄積が乏しいことが明確となり,現段階では学生を対象としたキャリア教育プログラムの開発は難しいとの見解に至った. 2019年度は文献検討を再度行い,訪問看護師の判断の基盤として,療養者を「生活者」として捉える力があるが,新卒訪問看護師がその力を獲得するプロセスは明らかになっていないことが明確となった.そして,そのプロセスを明らかにすることは,新卒訪問看護師の教育プログラム開発に寄与するだけでなく,学生が新卒訪問看護師としてのキャリアを展望する一助となりうると考えた.そこで,新卒訪問看護師が「要介護高齢者を『生活者』として捉える力」を獲得するプロセスについて明らかにすることを目的とした研究計画書を立案し,宮城大学研究倫理専門委員会の承認を得た.今後は研究計画書に基づき,データ収集ならびに分析を実施する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の計画では,看護学生が自己のキャリアを展望した上で,病院に限らず,新卒訪問看護師も選択肢に含められるような体系的なキャリア教育プログラムを開発することを最終目的としていた.しかしながら,看護学生のキャリア選択には実習での経験が深く関与している為,キャリアや進路を選択する一側面のみに焦点を当てると,実態に即さない教育プログラムになる危険性があると判断し,研究計画の再考を行った.そのため、当初の計画よりも大幅に遅れている状況である.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画を変更し,新卒訪問看護師が「要介護高齢者を『生活者』として捉える力」を獲得するプロセスに焦点を当て,研究を行う。本研究において、『生活者』として捉える力とは、「日々の訪問看護実践における,利用者および家族の観察や推察,意思の確認を通して,固有の生活習慣,生活リズム,価値観,人生観,家族関係,介護力,経済状況,社会資源サービスの利用状況を把握し,病状や身体状況と照らし合わせて利用者および家族の意思に即したケアを創造する力」と定義する. 研究第一段階では,新卒訪問看護師が要介護高齢者を「生活者」として捉える力を獲得するプロセスを質的記述的研究で明らかにする。研究第二段階では、一段階の結果を基に,学生が新卒訪問看護師としてのキャリアを展望する一助となりうる教材を開発する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では,看護学生が自己のキャリアを展望した上で,病院に限らず,新卒訪問看護師も選択肢に含められるような体系的なキャリア教育プログラムを開発することを最終目的としていた.しかしながら,看護学生のキャリア選択には実習での経験が深く関与している為,キャリアや進路を選択する一側面のみに焦点を当てると,実態に即さない教育プログラムになる危険性があると判断し,研究計画の再考を行った.そのため、研究の進捗が当初の計画よりも大幅に遅れ、これに伴い、次年度使用額が生じている現状である。 今年度はデータ収集に着手できる見込みであり、旅費や謝金等の使用を予定している。
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