新卒訪問看護師が「要介護高齢者を『生活者』として捉える力」を獲得するプロセスを明らかにすることを目的として、2021年4月から11月にかけて、経験年数1年以上5年未満の新卒訪問看護師を対象に5例のインタビュー調査を実施した。12月以降は2020年度に収集した4例のデータと統合を図りながら分析を行った。なお、データ分析では、逐語録を繰り返し読みながら、要介護高齢者を「生活者」として捉える力の変遷と、力の獲得方法について語られている記述の文脈を意味の読み取れる単位ごとにコード化し、抽出したコードの相違点、共通点について比較しながら分類し、サブカテゴリ、カテゴリを生成した。その結果、最終年度である2022年度までに、入職1~2年間における新卒訪問看護師の生活と医療を統合して看護を創造する力の獲得段階と、力の獲得方法について明らかにした。 獲得段階は78のコード、22のサブカテゴリ、6のカテゴリが生成され、獲得方法は47のコード、12のサブカテゴリ、4のカテゴリが生成された。 新卒訪問看護師の成長プロセスについては、研究蓄積が乏しく、看護学生がキャリアを選択する際に不安を抱く一要因であると指摘されている。本研究取り組みにおいて、新卒訪問看護師の生活と医療を統合して看護を創造する力の獲得段階と獲得方法について明らかにしたことは、新卒訪問看護師の成長プロセスの一側面を明らかにすることにつながり、将来的には、看護学生が新卒訪問看護師を展望する一助になりうると考える。 今回の研究期間では力の獲得方法と獲得段階を明らかにしたに留まったが、今後、本研究結果を基に、新卒訪問看護師として成長するプロセスで必要な基礎的能力を看護学生が獲得できる教育プログラムを構築していくこととする。
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