研究課題/領域番号 |
18K17608
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
大村 佳代子 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (30722839)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 医療情報の共有 / 医師ー看護師連携 / 訪問看護指示書 |
研究実績の概要 |
2年目に当たる今年度は、A県の診療所医師(1352か所)、訪問看護ステーション看護師(638か所)、医療機関地域連携室の医師・看護師(349か所)に無記名自記式質問紙票調査を行った。調査内容は、回答者の基本情報(職種、経験年数、所属機関の特徴)、日々の連携実態、訪問看護指示書における情報のやり取りについての認識、訪問看護指示書の変更に対する意向、具体的な変更希望箇所等について回答を得た。これらから、訪問看護指示書の意義に対する認識の違いや書式の変更について解決すべき課題について明らかにすることを目的とした。 回答者数は、診療所医師253名、訪問看護ステーション144名、医療機関地域連携室の医師・看護師等65名から返答があった。そのうち、有効回答数(有効回答率)は診療所医師251名(18.5%)、訪問看護ステーション143名(22.4%)、医療機関地域連携室の医師・看護師等65名(19.7%)であった。調査期間は2020年1月~3月末であった。 これらの調査結果から、訪問看護指示書による情報共有について、訪問看護師が必要と考えている情報が、診療所医師、あるいは医療機関の医師・看護師と必ずしも一致していないことが明らかとなった。 また、訪問看護指示書の書式に対する意見として自由記載では、診療所医師側から、「病名や薬剤が多く、書ききれない時がある」「毎月手書きでの記載が必要。アプリか何かで作成し、プリントアウト出来るようにしたい」「医師同士の診療情報提供書だけでは家族関係や身の回りの情報がなく、主治医の意見書も作成できないので、紹介される場合は看護サマリーもつけてほしい」等の意見が見られた。 これらの情報から、次年度以降は、訪問看護指示書のIT書式の実装を検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請当初は質問紙票調査を診療所のみとしていたが、予算の節約により調査範囲を拡大して調査を行うことが出来た。具体的には、当初計画していたA県内の診療所への質問紙票調査に加えて、訪問看護ステーション、医療機関への医師・看護師にも調査を行った。医療機関の調査は新型コロナウイルスの対応期間と重複したため、回答率は極めて低い結果となったが、地域連携に関与する様々な医療機関からの意見を集約することが出来たため、今後の情報共有システムの構築に有用な資料を得ることができたと考える。
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今後の研究の推進方策 |
3年目にあたる今年度は二期に分けられる。上半期では、1~2年目に情報収集を行った意見を元に、訪問看護指示書の作成を行う電子システムの構築を行う。電子システム構築に当たっては、訪問看護ステーション・医療機関の医師・看護師等から意見を得て洗練させる。下半期は、構築された電子システムを実際に使用してもらう。調査はA県内の訪問看護ステーションから、訪問看護指示書を依頼する医療機関に電子システムを紹介してもらう。訪問看護ステーションの看護師と訪問看護指示書を記載する医師に質問調査を実施し、必要な医療情報のやりとりが容易になったかどうかと、電子システムの使用感・今後の改善点等について調査する。電子システムの介入期間は6ヶ月間を見込むため、介入前調査は今年度に行い、介入後の評価は次年度に行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の拡大予防策のため、3月に雇用予定だった研究補助員(郵送調査に関する事務)の雇用が出来なかった。また、各医療機関の調査進捗をみてリマインダーのはがきを送付するように計画していたが、新型コロナウイルス感染症の拡大途上にあったため、医療機関での逼迫した状況を鑑み、差し控えた分について、余剰が生じた。
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