研究課題/領域番号 |
18K17608
|
研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
大村 佳代子 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (30722839)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 医療情報の共有 / 医師ー看護師連携 / 訪問看護指示書 |
研究実績の概要 |
本研究では、看護師が役割を発揮するために必要とされる医師との連携の中で、訪問看護指示書の様式に着目してきた。この様式は全国的に使用されており、2000年の介護保険施行以降大きな変更は殆どない。1年目から2年目にかけて、A県の訪問看護師と指示書を発行している医師を対象に調査を実施し、新たに追加する必要のある項目について検討してきた。 3年目に当たる今年度は、訪問看護指示書変更案をまとめ、訪問看護指示書を作成するための電子システムを作成した。作成にあたっては、訪問看護や退院調整看護の経験豊富な看護師にスーパーバイズを受けて作成した。この電子システムは、指示書を作成する際にできるだけエラーなく、厚労省の示す必要な項目を網羅し、充分な情報を記載できるように工夫したシステムで、PDFを最終産物とした。このPDFファイルをプリントアウトし紙媒体として訪問看護ステーションに郵送したり、電子ファイルのまま自分のクリニックの電子カルテに保存したりすることも可能である。新規患者の情報は保護されたクラウドで保存され、継続発行も簡単に行えるよう工夫を施した。 計画の段階では、この電子システムを実際に診療所で使用してもらい、使用前のベースライン調査を行うまでを今年度内に行う予定であった。具体的な調査内容は、診療科、往診・24時間電話対応の有無、1ヶ月あたりの指示書発行数、地域連携への困難感尺度(三浦, 鈴木ら2019)を想定していた。 しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大により、研究対象者となる医療機関に逼迫した状況が継続していたこと、緊急事態宣言下で研究者自身の出張も自粛せざるを得なかったこと等により、本研究への参加者(診療所医師)をリクルートすることに困難が生じている。現在は状況が改善するまで、一時的に研究遂行を見合わせている状況である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定では、本研究で作成した訪問看護指示書を作成するための電子システムを実際に診療所で使用してもらい、使用前のベースライン調査を行うまでを今年度内に行う予定であった。電子システムを作成し、調査にかかる倫理申請も行い、質問紙票調査も完成していた。しかし、研究対象者となるのが診療所医師であるため、新型コロナウイルス感染症の拡大によって医療機関に逼迫した状況のために研究参加を断られたり、緊急事態宣言下で研究者の行動も自粛せざるを得なかったこと等により、研究参加者をリクルートすることに困難が生じている。現在は状況が改善するまで、一時的に研究遂行を見合わせている状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
4年目の最終年度としては、訪問看護指示書を作成する電子システムの評価を行う。評価研究については、当初はシステム導入の前後で比較することを計画し、ベースラインとエンドポイントでの質問紙票調査を計画していた。しかし、現在の医療機関の逼迫状況を鑑みると、負担のかかる調査方法では研究に参加してもらえない状況がある。事後調査のみで評価を行うなど、調査プロセスの簡素化を行い、研究参加者への負担を減らして調査を遂行できないか検討していく。また、研究対象者のリクルートについては、当初は対面での説明を検討していたが、新型コロナウイルスの蔓延下でも可能な、電話やFAX、Web会議システム等を用いたリクルート方法についても検討が必要と考えている。このような工夫を行なっても、コロナ禍の事態が年度内に改善せず、研究遂行が適わない場合には、これまで調査した研究成果や、作成した電子システムについて広く公表できるよう論文執筆に注力していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染予防のために、参加した学会がWEB開催となり、交通費がかからなかった。
|