地域で看護師が役割を発揮するために、訪問看護師と病院の地域連携室に勤務する看護師に面接調査を行い、医療情報の共有に関する認識を明らかにした。研究参加者は8名の訪問看護師、4名の地域連携室看護師であった。《訪問看護師が求める医療情報》、《訪問看護にとっての訪問看護指示書の意義》では各々4つのサブカテゴリが抽出された。情報共有の方法とその困難さは、療養者が入院中か通院中かで異なり、特に外来終診後の療養者と、二次・三次医療を提供する中~大規模病院に多科受診している療養者で、情報共有の困難さが語られた。 次に、訪問診療を行う医師と、訪問看護を行う看護師間でどのような認識の差が見られるのか無記名自記式質問紙票調査を実施した。A県の診療所医師237名(有効回答率17.5%)、訪問看護ステーション143名(有効回答率22.4%)からの回答が得られた。平均勤続年数は、診療所医師33.7年、訪問看護師23.7年であった。1日の平均移動時間は、診療所医師40分、訪問看護師118.1分であった。1週間あたりの関係機関(病院、診療所、ケアマネジャー等)との連携にかかる時間は、診療所医師2.7時間、訪問看護師8.0時間であった。日頃の連携については、ほとんどの回答者が「うまく行っている」と回答していたが、訪問看護指示書の改良が必要と考えるかどうかについては、約5割の診療所医師、約8割の訪問看護師が「そう思う」と回答した。訪問看護指示書による情報の意義6項目について、診療所医師と訪問看護師の間に有意な差が見られたのは、「法的根拠」「加算要件」「緊急連絡先を明示するもの」「主導的な医師を明示するもの」の4項目であり、いずれも医師の方が意義の認識が低かった。 これらの調査をもとに、訪問看護指示書改善案をまとめ、訪問看護指示書を作成するための電子システムを作成し、活用を呼びかけた。
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