研究課題/領域番号 |
18K17612
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研究機関 | 大分県立看護科学大学 |
研究代表者 |
佐藤 愛 大分県立看護科学大学, 看護学部, 助教 (20634108)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | オーラルフレイル / セルフチェック / 自覚度合 / 咀嚼力 / 老人クラブ参加者 |
研究実績の概要 |
1.老人クラブ参加者におけるオーラルフレイル危険度別の咀嚼力の実態調査 オーラルフレイルのセルフチェック表(以下、セルフチェック表)によるオーラルフレイル危険度別の咀嚼力の実態を明らかにすることを目的として調査を行った。 老人クラブの例会参加者26名に対し、質問紙を用いた聞き取り調査と咀嚼力測定を行った。調査項目は、性別、年齢、セルフチェック表であった。セルフチェック表は8項目2件法であった。各項目を点数化し、合計得点0~2点の者をオーラルフレイル危険性低い群(以下、低い群)、3点の者を危険性あり群(以下、あり群)、4点以上の者を危険性高い群(以下、高い群)と判定した。咀嚼力は、咀嚼チェックガムを用い、色味の変化であるa*値を測定し、3群を比較した。 オーラルフレイルの危険度判定は、低い群8名(30.8%)、あり群8名(30.8%)、高い群10名(38.4%)であった。咀嚼力測定可能であった者は20名(76.9%)で、ガム咀嚼困難等を理由に測定を断られた者は、低い群1名、あり群1名、高い群4名であった。咀嚼力a*値の平均値は18.49±5.92であり、低い群20.01±5.16、あり群16.89±6.56、高い群18.57±5.44であった。これらの結果から、あり群と高い群は咀嚼力が低下している可能性が考えられた。 また、低い群とあり群の中に、a*値が10以下と著しく低い者が2名いたが、咀嚼能力低下なしと回答していた。口腔機能は必ずしも自覚と一致するとは限らないため、複数の客観的指標を用いてオーラルフレイルをスクリーニングする必要があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では、複数の客観的指標からオーラルフレイルを判定する予定としていたが、研究を開始してからコロナ禍に入り、計画を一部変更して実施している。昨年度は主観的評価により、オーラルフレイル自覚度合の実態を明らかにした。今年度は自覚度合に加え、咀嚼力を実測し、オーラルフレイル危険度別の咀嚼力の実態を明らかにした。 しかし、実測をしたものが咀嚼力のみであり、複数の客観的指標を用いて調査できていないため、遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は実測する項目を増やしてオーラルフレイルを判定する予定である。新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行したものの、高齢者は新型コロナウイルス感染症に感染すると重症化しやすいことを考慮し、感染防止対策を十分に施しながら、調査を実施する方法を老人クラブ等の代表者と調整している。
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次年度使用額が生じた理由 |
測定項目が咀嚼力の1項目のみに限られていたため、物品費や人件費に余剰が生じた。次年度は、口腔巧緻性や口腔湿潤度等の複数の客観的指標を用いて調査を行う際に、物品費や人件費に使用する予定である。
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