本研究の目的は,「認知症高齢者の自発摂食評価表(Self-Feeding behaviors' assessment tool for the elderly with Dementia:SFD)」が,アルツハイマー型認知症と血管性認知症のみならず,レビー小体型認知症にも適用可能かどうか,信頼性と妥当性,さらにPre-post designによるSFDの有効性を検証することである. 全国の老人看護専門看護師と認知症看護認定看護師を対象に,郵送法による自記式質問紙調査を実施した.信頼性は,再検査法,評価者間信頼性,内的整合性について検討し,妥当性はCDR,MMSE,Barthel Index(BI)との基準関連妥当性を検討した.その結果,SFDはDLB高齢者に対しても信頼性と妥当性を認めた。 また,SFDの「摂食困難の把握」「ケアの評価」「各項目の難易度」「記入所要時間」に関するアンケート結果の分析を行い,改訂版SFDを作成した.SFDによる「摂食困難の把握」と「ケアの評価」は各々93.2%が「そう思う」と回答し実践への活用が評価され,「記入所要時間」の中央値は2.0(1.0-5.0)分と短時間であった.「各項目の難易度」は「巧緻」以外の9項目は88.8~97.0%が「簡単」と回答したが,「巧緻」のみ77.8%とやや低かったため文言を追加し,評価方法に注釈を追加した. 研究成果の公表については,IAGG2019(国際老年学会アジア・オセアニア地域大会)で発表した.2020年度は,Pre-post designによるSFDの有効性の検証を行う予定であったが,所属研究機関退職に伴う資格消失により、研究を廃止した.
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