本研究は、社会活動において金銭的利益を得ることが認知力の低下の予防につながることを明らかにすることで、有償ボランティアの意義を見出すとともに、認知症初期支援の基礎資料の一助となることを目指している。研究デザインは無作為化比較試験(臨床介入研究)であり、本研究の対象者は、A県内の12町村の介護予防事業の参加者、ボランティアスタッフ、有償ボランティアスタッフとして参加した軽度認知症高齢者各5名程度とする。介入前に基本情報となる基本チェックリスト、改訂長谷川式簡易知能評価スケール等を実施、またはカルテ等より情報収集を行い、対象者5名を選定する。同意が得られた対象者に対して謝礼として1日500円を手渡す群を介入群とし、ボランティア(対照群A)と参加者(対照群B)は無作為に割り付ける。介入群には有償ボランティアとして介護予防事業のスタッフとしてできる限りの軽作業(受付や椅子の設置、物品の配付など)を行ってもらう。対照群Aには同様にボランティアとして介護予防事業のスタッフとして軽作業を行ってもらうが、謝礼は渡さなない。対照群Bの対象は介護予防事業の参加者として参加してもらう。主要評価項目は、改訂長谷川式簡易知能評価スケールであり、副次評価項目は、日常生活自立度と基本チェックリストである。 以上が申請当初の計画であったが、対象者を拡大する等、研究の条件を一部変更して研究者所属の倫理審査を受け、承認を得た。しかし、新型コロナウィルスの感染拡大の影響により、介護予防事業等の高齢者の集会を開催できていない市町村が多く、協力機関である市町村等と調整を行ったが、協力を得ることができず、実績が残せていない。
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