研究課題/領域番号 |
18K17623
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研究機関 | 東京有明医療大学 |
研究代表者 |
川上 嘉明 東京有明医療大学, 看護学部, 教授 (20582670)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | エンドオブライフ・ケア / 看取り / BMI / 予後予測 |
研究実績の概要 |
初年度は高齢者介護施設等で死に至った高齢者について遡及的にデータ収集し、データの信頼性が担保された対象者約100名における死亡時の年齢、性別、身長、月毎に測定された体重およびBMI、提供された各食事 の栄養量と毎食の摂食量から得られる食事摂食量(kcaL)、毎日の水分摂取量(mL)をパラメータとして分析を行った。分析については、対象者の基本属性を記述統計により明らかにし、死亡前1年間に対し死亡2年前から1年間の変化量についてROC分析により比較を行った。またROC曲線からAUCおよび有意差を明らかにし、さらに閾値およびオッズ比を求めた。 その結果、各パラメータの死亡前1年間に対し死亡2年前から1年間の変化量はAUCにおいて、BMIは0.645、食事摂取量は0.912、水分摂取量は0.775であり各パラメータは有意に変化していた。またオッズ比においてもBMIが1.82、食事摂取量は9.36、水分摂取量は3.70であり、各パラメータは虚弱高齢者の予後予測に有用であることが検証された。 上記の結果については、第23回日本緩和医療学会学術大会(招待講演)、第42回死の臨床研究会年次大会(招待講演)、シンガポール国立大学TREND Seminar で発表を行った。また、これらの結果を参考として、介護職員の看取りに対する受け止め方について日本緩和医療学会誌に原著論文を投稿し、査読の結果、同誌14巻1号で公表された。さらに上記の調査結果と分析を一般の方々にもわかるように記述し、単著で2018年11月に『家で死んでもいいんだよ』(法研)を刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書どおり、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
現在データ収集を行っている高齢者介護施設等での収集データを増やす。これにより、性別、死亡時の年齢階層別の分析が可能となるようにする。複数の施設等、また300以上の対象者のデータを分析することにより、虚弱高齢者の予後予測を確実にするための指標として数理モデルを用いる等の開発を行う。 さらにケアの記録におけるキーワーズについて、死亡5年前から高頻度に記述されるようになるキーワーズの出現頻度を分析し、クラスター分析等を行うことにより上記の数理モデルに加えさらに予後予測に資する指標モデルの開発を行う。 その後、上記の指標を実際に活用することにより、有効性の検証まで行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
翌年度は研究対象施設の拡大に伴う業務請負費の増加、研究対象施設への訪問に関わる旅費の増加が見込まれる。また海外ジャーナルへの投稿に伴う英訳、データ分析に関する統計分析のコンサルティング等に関わる費用の支出が見込まれる。
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