研究実績の概要 |
人工的栄養水分補給法を行わず死に至ったナーシングホームの高齢者106名について、死の5年前からの平均BMI、平均エネルギー摂取量について、各々低体重と判定される18.5kg/m2、基礎代謝量である830kcaLの基準値を有意に下回った月を求めた。さらに平均水分摂取量を加えた3者のパラメータについて、死亡前1年間とそれ以前の1年間の変化量についてROC解析による有意差とカットオフ値を求めた。 その結果BMIは死亡9ヵ月前から、エネルギー摂取量においては死亡直近時において基準値を有意に下回っり(<0.001)、BMIがエネルギー摂取量に先行して減少した。ROC解析では3者のパラメータの変化量について有意差が検出され(<0.001)、死亡前1年間とそれ以前の1年間の変化量のカットオフ値は、BMIが1.7kg/m2、、エネルギー摂取量が300kaL、水分摂取量が126mLであった。 1年以上のタイムスパンで低下するBMIの変化量と、それより遅れて1年間に低下するエネルギー摂取量における変化量、さらに死亡直近時に急減する水分摂取量といった各パラメータは、予後予測に有効な因子であると考えられた。 上記については,”Changes in Body Mass Index, Energy Intake, and Fluid Intake over 60 Months Premortem as Prognostic Factors in Frail Elderly: A Post-Death Longitudinal Study”, Int. J. Environ. Res. Public Health 2020, 17(6) (査読有)で公開された。また,救急医学9月号(へるす出版),食と栄養Vol.11(講談社),『死とは何か』(Newton)においても,その研究の一部が公表された。
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