本研究では、放課後学習支援ボランティア15名(M=68.5歳,range54.0-86.0)のライフヒストリーの語りを基に、世代性獲得の過程を概念化した。ボランティアらは、①動機形成期、②移行期、③維持・葛藤期の過程を経て、学習支援プログラムへの参加が自身にとり有益と感じるようになり、若い世代への助言や知恵の共有が促されていた。また、ボランティアが子ども期に経験した〈遊びや学びの文化〉は、暴れてアクティングアウトする児童との関係性をコントロールする傍ら、自らも楽しむツールとなっていた。すなわち、ボランティアが経験する児童生徒との葛藤場面の解決は、次世代育成の自信となり、世代性獲得を促していた(諏澤,2020)。更に、ボランティアの《年齢》は、児童が家族間ストレスを打ち明ける「信頼」等の認知的要素となり,ボランティアが居ることで暴力行動を抑制する《安全基地》構造となり,囲碁などの《非言語コミュニケーション》が児童とボランティア双方の心身の復調の契機「互酬」となっていた(諏澤,2019b)。この結果より,高齢保育ボランティアの世代性獲得過程は,ソーシャルキャピタル(SC)の構成要素「構造」「認知」「互酬性」と関連が深いことが示唆された。次年度は、学童保育でのライフスキルの獲得場面にみる,高齢保育ボランティアと児童の対話から生成される相互作用の影響としてのSCの内実を質的に明らかにし、実践の場に還元可能な言語によるダイナミックなSCの概念化を目指すことで、地域の世代間交流プログラムの促進に貢献したいと考える。 HIROE SUZAWA(2019a)Generations United 20th Biennial Conference. U.S.A 諏澤宏恵(2019b)第66回学校保健学会学術大会発表抄録集 諏澤宏恵(2020)未来教育研究所紀要 第8集
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