本研究の目的は、地域のつながり強化にむけた介護予防活動における参加者同士のバランスのとれたサポート授受を促進するための具体的な要因を明らかにすることである。11つの介護予防活動の自主グループのリーダー16名を対象に、介護予防活動の参加者間でのサポート授受のために工夫していることついて半構成的インタビューを実施し質的に分析した。その結果、リーダーが捉える活動の中で参加者同士のサポート授受を促すきっかけは【地域住民同士のつながりの必要性への気づき】【近所で頻回に顔を合わせる気軽な機会が大事という実感】の2 つのカテゴリーが抽出された。サポート授受を促すための工夫は【参加者同士がつながりやすい雰囲気づくり】【参加者一人ひとりを大事にした関わり】【参加者ができそうと思えることを引き出す】【負担感なく役割を担える働きかけ】【あえて役割を決めず自然に参加できる流れづくり】の 5 つのカテゴリーが抽出された。活動を通して地域のつながりを構築したい思いが、活動内のサポート授受を促すきっかけとなっていることが明らかとなった。リーダーは活動の中で参加者一人ひとりを大事にし、参加者の潜在能力を引き出す関わりとサポートしやすい雰囲気づくりを大事にしていた。活動内で役割を担うことについては参加者の状況に応じた対応が必要である。介護予防活動を通じて、住民同士がサポートしあう地域づくりにつなげることが重要であることが示唆された。最終年度成果として、本研究の結果を論文化した。 本研究で明らかになった要因をもとに質問紙調査を実施予定だったが新型コロナウイルス感染症の影響により、調査実施が難しくなったため、得られたデータから男性高齢者の特徴や支援プログラムの検討を行った。今後は検討したプログラムを元に、男性高齢者が地域でサポート授受しあい、地域のつながりを構築する支援にむけたさらなる研究が必要である。
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